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6・5 空中線の理論

送信空中線は、高周波回路の電力をできるだけ能率よく電波のエネルギーに変換しそれを空間に放射するために使われる。

一方、受信空中線は、空間を伝搬して到来した電波のエネルギーをできるだけ能率よく高周波電力に変換して、受信機に送り込むものである。

したがって、空中線は、電気回路と電波の間のエネルギー変換器といえる。

このエネルギーの変換を効率よく行なわせるために、GMDSS機器には、使用する目的や周波数によって様々な構造や特長をもった空中線が使用されている。

本項では、このような空中線の特長を示す用語の一般的な意味について記述し、次項で各々の空中線の具体的な特長を記述する。

(1) 電界強度

電波の強さを表わすには磁界の強さを用いてもよいが、通常の空中線では電界の強さを用いる。図6・4に示すダイポール空中線の場合、空中線の長さをl[m]、給電点の電流をI[A]、波長をλ[m]とすれば空中線の任意の方向における距離r[m]の点の電界強度Eは、

 

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(2) 放射電力と放射抵抗

電波が空間に放射されると、これに伴って高周波エネルギーが空中線から放出され、単位面積を単位時間に通過するその量PP(これをポインティング電力という。)は電圧(V)と電流(A)の積が電力(P)で表わせるように電界E[V/m]と磁界H[AT/m]の積で表わすことができる。

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