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1) 雑音指数(ノイズ・フィギュア)がよく、感度のよいこと。

一般の受信機では、空電や人工雑音が相当あるなかで弱い信号を受信するので、選択度特性が重要となるが、レーダー波の範囲になると、空電や人工雑音はほとんど無視できる程度に小さく、むしろ問題になるのは受信機自体が発生する雑音で、これにより弱い信号が受信できるかどうかの限界が決定される。これを雑音指数といい、値が小さいほどよいことになる。

2) 必要な帯域幅があること。

入力のパルス波形を正しく受信機からの出力とするためには、十分な帯城幅と位相特性が必要である。

3) パルス応答性がよいこと。

パルス波形を忠実に出力するだけでなく、非常に大きい信号のすぐ後に続く弱い信号も正しく増幅する必要がある。そのためには、大きい信号のすぐ後でも受信感度が直ちに正常に復帰することが必要である。

4) 海面反射、雨雪反射抑制がよくできること。

レーダーの場合、これらの抑制のため、STC、FTC回路が設けてある。

 

4・5・1 局部発振器

受信信号は局部発振管(クライストロン又はガンダイオード)の出力と、クリスタルダイオードによってへテロダイン検波され、中間周波信号となって受信機の入力に送られる。すなわち、受信しようとする周波数よりも中間周波数だけ高いか又は低い周波数を局部発振器で発振させ、混合器(ミキサ、以下ミキサという。)で受信信号と局部発振信号を混合する。ミキサの出力には、この二つの信号のビートが出てくるが、一般には、このうちの差の周波数をフィルターで取り出している。つまり、ここで周波数が変換されたことになる。この周波数を中間周波数 lntermediate Frequency(I F)と呼び、次の中間周波増幅器で十分に増幅してから検波する。これをスーパーヘテロダイン方式というが、この方式は安定度、選択度、感度の点で他の方式よりも優れている。

このほかに、レーダー受信機では、近距離での海面反射(波浪からの反射抑制)を抑制する回路(STC)や雨雪からの反射信号を指示器の映像面から抑制する回路(FTC)などが付属している。また、反射信号の強さを定量的に知りたいとき(たとえば雨量測定など)には、中間周波増幅回路に対数増幅器(ログアンプ)を使用することもある。

 

 

 

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