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送信によって放電が生じると、この結合口が短絡されたのと同じ効果になって、送信信号は損失なくこの部分を通過する。現在、送受切替え装置として、サーキュレータ型デュープレクサーやダイオードリミッタが多く使用されている。なお、これら回路の詳細は4・3を参照されたい。

 

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図3・15 TR管及びATR管接続図

 

3・6 ブラウン管

 

3・6・1 CRT

レーダーの表示器での表示は現在のところ大抵プラウン管によっている。ブラウン管はまた陰極線管あるいはCathode Ray Tubeの頭文字をとってCRTとも呼ばれている。このCRTの構造は図3・16(a)のとおりで、外側のガラス管は、先の方(右側)にいくに従って開いた構造となっている。管面は方形のものと丸型のものがあり、前者はTVなどで使用されているが、レーダーでは、ほとんど丸型のものが使われている。この丸型の管面の径をインチで表したものがCRTの型名によく使われ、何型のCRTという。例えば大型の船舶用レーダーには16型(16インチ型)や12型が、また、小型のレーダーでは7型が使われている、などである。

管の内部を左側からみていくと、Kはカソード(陰極)で、内部のヒーターで加熱されて熱電子を放出する。カソードのすぐ近くにはGと記したグリッド(格子)があって、このグリッドこ加えられる負の電圧の高さによって、ここを通過できる電子の数が変化する。負の電圧が高くなると、ここを電子が全く通り抜けられなくなり、これによってCRTの映像面の明るさを制御できる。P1とP2はGを通り抜けた電子の流れを集束して、管面のところへ細く絞る役目をする。光線を集束するにはしンズを使用するが、この場合の流れ(電子ビームという)を集束するのであるから電子レンズと呼ばれ、その原理は図3・16の(b)に示すように、P1とP2 にかける電圧によって、等電位面を凸レンズのような形にして、電子の向きを変える作用をさせている。このように電界の効果を使った電子レンズを用いたものを静電形の集束というが、このほか、磁界の作用で電子ビームを集束する方法もあり、これを電磁形の集束という。

 

 

 

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