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・出力         20mW以上

・空胴電圧       300 V

・リペラ電圧       -85〜-200V

 

3・3 ガンダイオード

 

マイクロ波で使用される半導体発振器や増幅器には幾つかのものがあるが、ここでは、反射形クライストロンに代わって、受信機の局部発振器に使用されるガンダイオードについてのみ述べる。

 

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図3・9 ガンダイオードの構造

 

ガンダイオードは1963年にアメリカのガン博士によって発見されたガン(Gunn)効果を利用したマイクロ波の発振器である。この効果は、ガリウム砒素(GaAs)のN型の結晶の両端に直流の電圧(厚さ1cm当たり数千V)を掛けたとき、その結晶中を流れる電流が、結晶の厚さで決まる周波数で振動をするというものである。ガンダイオードの構造は図3・9に示すとおりで、GaAsの細片の両面に電極を取り付けたものである。この両電極に直流の電圧を加え、電圧を次第に高くしていくと、電圧が低い間は一定の抵抗を示して、流れる電流は電圧に比例しているが、この電圧が厚さ1cm当たり3,000Vを超えると電流は飽和して、逆に減少をするという負性の抵抗をしめすようになる。これは、この半導体の中を流れる電子の移動速度が遅くなるためであって、こうなると陰極の付近に電子が固まって、陽極付近には電子が少なくなる。この電子の固まりはそのまま陽極の方に移動をして、陽極に達して大きな電流となるが、そうするとまた陰極近くに電子の固まりができる。こうして、ダイオードには振動電流が流れるが、電子の集団の移動速度はほぼ105 m/s なので、GaAsの動作領域を10μmとすると、それを通る時間は 0.0001μsとなり、10GHz周波数が発振されることになる。この発振周波数は、加えられる電圧や接続される空胴共振器の共振周波数によって、かなりの範囲を変化させることできる。

レーダー受信機の局部発振器に使用するときには図3・10に示すように、ガンダイオードを空胴共振器の一部に接続しておくと、発振周波数は共振器によってほぼ決定されるので、空胴共振器の調整によって、発振周波数を微調整することができる。

 

 

 

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