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直進形は主として増幅用に使用され、地上に設置させる大型のレーダーの送信用の増幅管に使用されている例が多いが、発振用にも使用可能である。船舶用レーダーの局部発振管に使用されているのは反射形である。

直進形クライストロンの構造を図3・5に示す。カソード(陰極)はヒーターで加熱されて熱電子を放出し、その放出された電子は加速電極に加えられている正の電圧で加速されて、コレクタ(集電極)に向かって直進する。コレクタとの間には、空胴共振器の一部を構成する格子(グリッド)が2組あり、カソードから見て手前のものをバンチャ、遠い方のものをキャッチャという。

バンチャに接続されている空胴にマイクロ波の共振信号が入力されていると、バンチャの両グリッドG1とG2 にはその信号が加わっているので、電子がこのグリッドを通り抜けるときに、そのときの電界の極性によって加速されたり、減速されたりする。

 

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図3・5 直進形クライストロンの構造

 

その状況を図3・6に示す。こうすると、加速された電子はある距離を行くと、前の減速された電子に追いつき、電子が一固まりになるところがある。キャッチャのグリッドG3とG4をそのような位置に置くと、その電子群の通過によって、マイクロ波信号が誘起されて空胴を共振し、これはバンチャ側の空胴共振器への入力に対して、増幅をされた信号として取り出すことができる。このクライストロンを発振器として使用するときには、図の出力の一部を適当に入力側に戻してやればよい。

 

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図3・6 直進形クライストロン内の電子の動き

 

 

 

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