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この図と図8・17から、高さの異なる物標はその距離によって最大と最小の反射波強度をとる点が異なっていることになる。図8・19がこのようすを示したもので、その高さが50ft(15.2m)、25ft及び12ftと異なった物標による反射波強度の変化の状況を示してある。

以上の論議は高さ方向に広がりを持たない物標、すなわち、点に近い物標についての論議であるが、このような物標の例としては、後に述べるレーダー反射器がこれに相当するし、飛行中の航空機等もこれに当たるであろう。しかし、一般に航海用レーダーが探知をする物標は、例えば船のように海面からある高さまでの高さにわたってレーダー電波の反射部分がほぼ連続的に存在をするのが普通である。このような上下に広がった物標からの反射波はちょうど図8・20において、より多くの高さの異なる点物標の反射波の強度を合成した値として表現され、レーダーとの距離の変化によって、反射波の強度に最大、最小部を持つことなく、図8・19の最高部近くを連ねた形で減衰していくことになり、図8・20に示す4乗域の線がそれに相当する。この物標の高い部分が図8・17の最大の線より下になるともはや図8・19で極大値を取る曲線がなくなり、高さ50ftの実線の8〜10海里以遠に示すような減衰をすることになり、それが図8・20の8乗域の直線に相当する。こうして、4乗域はある高さをもった物標の最高部が、図8・17の最も低い最大の線よりは上にあるときの距離による反射波強度のR-4に比例する減衰をし、最高の高さが最大の線の下側にくる距離から遠方は8乗域になりR-8に比例をした減衰をすることになる。

 

 

 

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