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(c) 整流素子による分類

逆変換主回路用の整流素子にはサイリスタ、GTO(ゲートターンオフサイリスタの略)又はパワートランジスタが用いられる。

サイリスタは誘導負荷の場合転流を確実に行わせるために、強制転流回路を付加する必要があり、回路構成がやや複雑になる欠点がある。一方、GTOやパワートランジスタは自己消弧形の素子で、ゲート電流又はコレクタ電流の制御により主回路をON-OFFさせることができるので、回路構成上望ましい素子とみなされており、最近の急速な開発に伴い、サイリスタに代って広く採用されるに至っている。現在ではパワートランジスタは1200V、300A程度のものまでモジュール化されており、GTOにおいて4500V、3000Aのものまで開発されている。一般に広く使用される中容量(約300kVA)以下のインバータにはパワートランジスタが主流を占めて使用されており、船用のインバータの殆んどパワートランジスタが対象になるとみなされる。

 

(2) 電圧形VVVFインバータ

 

任意低減速度運転又は省エネルギーの目的で一般的に採用される電圧形VVVFインバータの動作原理と制御法並びに主回路結線を以下に概説する。

(a) 無効電力の処理

インバータ部の電源側は直流電圧であるので、変換素子で処理された電圧は方形波に近いものとなる。この電圧を図2.113(ii)に示すような波形とみなし、これに交流電動機のような誘導性負荷を接続すると、その電流波形は図2.113(iv)に示すように矩形波ではなくて、電圧の変化に遅れた形の波形となり、電流曲線の0φ及びπ〜π+φの区間では、電圧と反対の向きの電流が流れる。この現象は誘導性負荷のインダクタンスに蓄えられエネルギーを電源側に戻すように作用し、負荷による無効電力の発生と見なされ何等かの処理手段が必要となる。下記に無効電力の処理法について説明する。

 

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図2.113 方形波交流電圧に対する負荷電流形の差異

 

 

 

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