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III. 付属書

(1) 洋上救急(医師の洋上往診)の求め方(医療援助通信)

 

1. 要請の手順

『洋上往診が必要である』と医療助言があった時に会社か代理店から直接船の現在位置を受け持つ洋上救急センター地方支部(電話番号はP130に掲載)へ出動要請をします。その時点で、次の通り病人の詳しい状態が関係者に報告されなければなりません。

 

2. 出動医師の専門分野の検討

無線医療通信によって大体の病状が判明していると、それぞれの専門分野の医師に往診を依頼することが可能になります。さらに看護婦の同伴が必要かどうか検討されます。

●医師の専門分野とは

1]骨折を伴うような災害なのか→整形外科

2]頭を強く打撲した外傷なのか→脳神経外科

3]高血圧、脳出血のような疾病なのか→循環器(内科・外科)

4]心筋梗塞のような心臓に関するものなのか→循環器(内科・外科)

5]腹痛や吐血を主とした内臓関係のものなのか→消化器系(内科・外科)

6]他の眼科、耳鼻科、歯科などのものか

これくらいの区別ができていれば専門医師の選択には大いに参考になります。またこれによって持参する薬剤や衛生材料の準備が十分にできます。

 

3. 患者のいる船の位置と航海方向、天候

船の位置と航海方向が非常に重要です。

海上保安庁の巡視船(ヘリコプター搭載)の行動可能範囲からいって、内地から1,500海里程度が限界と考えられます。また荒天の場合、救助船と会合できても患者を収容できないこともあり、このような場合には特殊救難隊員による患者の移乗がすんでから医師の診察となります。

 

4. 洋上往診の実際

無線医療通信によって医師の往診の必要が助言されると、船会社から洋上救急センターヘの往診の要請が行われ、そこからさらに関連病院へ依頼されます。往診が決定されても医師の乗った巡視船が出港するまでは数時間の猶予があるはずです。また、ヘリコプターの夜間の発着は危険が伴うため、船との出会いはなるべく日中になるように計画されます。往診の医師が病人の船に到着するまでの間の医療通信(医療援助通信)は、巡視船に乗り組んだ医師との間で行われます。

 

 

 

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