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一般の家庭でしていることがあたりまえなのに、その時はなぜか不思議に思えてなりませんでした。掃除の仕方、洗濯物の干し方、草むしり、手芸、中でも手芸は、三千代先生がとっても上手で、今まで作った作品をいっぱい見せて頂きました。小さい私達を寝かせてから、縫ったり刺しゅうをしたものばかりだったそうです。すべての面で、困る事のない様に教えて頂きました。無駄にしたり、物を割ったり、捨てたり、それは大変な事をしていました。高校もどうしても行きたいと思い、心配をかけて行かせてもらいました。私が行った高校は課題が多かったため、夜中まで夢中で勉強しました。その時も先生は、一緒に起きていて、いつもそばにいて下さいました。いろいろ手とり足とり教えて頂きました。

私は、ずっと先生達の家族の様に、仲良く暮らせるような、良い家庭を持ちたいというのが夢でした。卒業出来て働くようになるにつれ、私は生活に慣れたせいか、反抗する毎日も増えてきました。かなり困らせました。まわりがみんな結婚すると聞くと、なにか自分だけとり残されたような気がして、先生が心配してくれているのに注意も聞きませんでした。結婚は、「上から順ではない。その人にとって一番いい時期にするんだから安心していなさい」と随分いい聞かせられました。

 

 

 

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