今考えると思い切った委託、つまり委託後に予想される子どもの行動は並大抵のものではなく今だったら躊露したかもしれませんが、里親さんはそういう大変さをひとつひとつクリアして子どもを育てあげられました。委託直後にみられるいわゆる赤ちゃん返り、試し行動がたくさんありました。大小便の失禁も長期間続き、里母さんのそばから片時も離れず、ちょっとしたことでギャーッと泣き叫ぶ状態で本当に大変だっただろうと思われます。しかし、里親さんは、家庭訪問すると子どもをいわたり包み込むような感じで接しておられ、いつも笑顔でいろいろなエピソードを話してくださいました。委託から2年後に里母さんと子どもに会って心身共に成長した姿をみたときの感動はいまでも忘れません。
里親さんのところで愛情を受けて育つことで身体的にも精神的にも、いかに大きく成長できるかを福祉司として実際経験させてもらえたということがその後、私がこの仕事を続けるうえでの大きな支えとなっています。たぶん思春期はまた大変な時期を通り抜けられたと思うのですが、いい大人になられたと聞いており、本当に感謝しています。