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あの時の事を振り返るとM君が「バットで潰せ」と言った時、ぶたれるよりかぶとがにがどんなに大切である事に気づくべきでした。日記は偶然にも、今日から書く約束をして用意した日にかぶとがにの問題が起きてしまった。なぜ日記を交換する事になったか理由があるのです。日頃悪い事をした時本当の理由が言えず、嘘を平気でつく事が心配で日記にはありのままを正直に書けるようにと、日記を通して沢山お喋りをしようねとの思いが込められていました。いろんな体験を得て、6年の卒業期を迎え父に私立の中学受験を勧められて、受ける決意をして勉強にとりかかるのですが、今まで自由気ままに遊びぐせがついた僕は、机に向かうと瞼がすぐ仲良しになって勉強が進まず、結果は不合格でした。大村の中学校は、三つの校区域から集まっている学校で人数も多く、地元の小学校の生徒は殆どが農業をしている人が主でしたが、中学校はいろいろな職種が違う人達で、話す内容が様々でした。こうした環境の違いに驚き、目新しい発見をする事ばかりでグループの中には入れませんでした。自然に小学校時代の学友と会話が続きましたが、僕は、2〜3人の友達が少しづつ増えていきました。

1学期、2学期は問題も起こさずごく普通の生活を続ける事ができました。そして3学期の中頃でした。友達数人に誘われて学校帰りに大きなお店に入りました。早いスクールバスで帰る予定でしたからお金を持っていませんでした。200円のガムが欲しくて我慢ができず、ばれなければいいさと思ってポケットに入れている所をお店の人に見つかり、数人の友達もシャンプー、ブラシとかをカバンに入れていました。早速学校名を尋ねられ、学校に連絡されてしまい、父兄も呼び出しがあり校長先生始め沢山の先生が集まられて叱られました。今回は始めてであるので品物を返しに親と行く事になりましたが、僕は万引の品物の事で家の人に嘘をついていました。真実を知らない母は、僕の言葉をそのまま先生に質問したので、先生も驚かれてすぐばれて、先生に2回も叱られてしまいました。お店の方の注意を母は黙って頭を下げて何度も謝っていました。200円の腕輪でも人の物を盗る事は罪になる事を教えられました。

三年になって、高校進学をめざして放課後担任の先生に英語と数学の補習を受ける事を頼んでくれました。先生は僕の為に時間を調整して指導して下さいました。熱心に習ったのは2ヶ月位でした。飽きやすい性格は入試の苦しさを忘れて友達の家に遊びに行き、スクールバスでは殆ど帰らず最終バスまで遊んでいる僕を見て「誰の為に特別に補習を受けているの」、やる気のない事がわかると勉強を名目で遊びに悪用するなら先生に申し分けないと断ってしまいました。

こんな僕でも中学生活の中でこんな事もありました。体育祭で応援団長に選ばれて、立派に皆を纏めて無事団長を勤めて良くやったと先生方に誉められました。合唱祭では、指揮者をさせられてクラスのハーモニーが揃い、良かったと三位に入賞した事です。又、選挙管理委員長に推せんされ、日頃の僕でない面を発揮できた事がこの間の充実感を得られた事は、沢山の体験を通して、今迄の僕が見過ごしていた事に新しい発見をしたり、当り前と思っていた事がとても新しい新鮮なものと感じたりするようになりました。

新しい希望に夢を胸一杯に脹らませ高校へ入学しました。高校生活にも慣れた5月頃、一年生の2泊3日の宿泊訓練に参加しました。一日目はクラスのC君にジュースの使いぱしりを2〜3回させられ、洗濯していると「僕のもお願い」と置いていきました。夕食の配膳の準備をクラス別にしていると、別のグループの御飯盛を人から頼まれたものを僕にしてくれと呼びかけるので、我慢のぎりぎりに耐えて相手の言葉を無視しました。一日の行事が終り、それぞれの各部屋に引き上げましたが、僕の気持はおさまらずC君の部屋に行きおもいっきり殴ってしまいました。

 

 

 

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