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自然と文化 第63号「御幣」

 事業名 観光資源の調査及び保護思想の普及高揚
 団体名 日本観光振興協会 注目度注目度5


財団法人日本ナショナルトラストからのメッセージ

北京秋天……山岡通太郎

 

北京・上海等で操業中の日系飲料企業の現況を視察したいという、ドイツの友人達とともに、国慶節直後の天安門樓上において、ビールの乾杯を行う機会を得た。

澄みきった青空に美しく輝いていた秋の日もつるべ落し、宵闇せまる広場で待機することしばし、内外観光客の流れもようやく途絶えはじめた頃、突如現れた関係者の案内で通用門をくぐる。

かつて、毛沢東・朱徳・周恩来の三人が、広場の大群集を前に、天安門上から高らかに「中華人民共和国」の成立を宣した時、登ったという古色蒼然とした階段を踏んだ際は、深い歴史的感銘を覚えた。

まだうら若い中国軍兵士の諸君が網の目越しにこちらを向いて警戒佇立するなか、ケータリングサービスとは云え、華やかなスーツ・ドレスに身をつつんだ、日・独紳士・淑女のレセプションが進行する情景は極めて印象的であった。

その前日には、中国政府が最近もっぱら宣伝に力を注いでいる、長城のひとつ慕田峪を訪れた。

故笹川良一先生の碑を右に眺め、「日本ケーブル」製のリフトで上ると、最近クリントン大統領も訪れたせいかレッドカーペットでのお出迎え。

 

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パーティ会場となった天安門でくつろぐ筆者。警備をする人民解放軍兵士の視線が気になるところ

 

中国全土からやって来た観光客の好奇心に満ちた視線を背に、用意されたピクニックランチとビールで乾杯を行う。

これらのイベントは、あらかじめ関係当局の好意で進められたものとはいえ、日本において、奈良の大仏殿・国会議事堂・二重橋などを拝借して、異国の人々が酒をくみ交わし、談笑することが許されるであろうか。

文化財の保存と活用について、更めて考えると共に、外国人観光客誘致に熱心な中国政府当局の姿勢をかいまみた次第である。

<(財)日本ナショナルトラスト理事長>

 

【編集雑記】

◎59号で「見世物」を特集したが、見世物業界の人々との交流で、情報を交換、記録し、見世物関係者を元気にしようと「見世物学会」が昨年設立された。会長には演劇評論家の田之倉稔、理事長には松坂屋五代目の西村太吉が総会で選出された。その他、山口昌男、種村季弘、秋山祐徳太子、内藤正敏などが役員に選ばれた。

数少なくなっていく見世物小屋に関連する情報を、聞き取りを中心に収集する活動を行っていく予定。

学会への入会はどなたでも参加できます。

事務局=札幌大学文化学部内 電話011-852-1181

会費=8、000円

振込先=北洋銀行(普)澄川中央支店西岡出張所 3374546

◎「御幣」特集を誌上で初めて見たのは23年前の『銀花』であっただろうと思う。毎号、各地に残る日本の民俗文化を紹介していた熊谷清司さんの仕事であった。今回の特集にあたり、参考文献を捜し求めたが、熊谷さん以外にまとまった参考文献はみつけることができなかった。熊谷さんは、20年前、お札の取材中に他界された。生前、酔っ払って隅田川の堤防を乗り越え、ひたひたと打ち寄せる波を気にしていると、「どうだ、隅田川の臭いだ。ここから見る東京は違うだろう」と熊谷さんの感覚に私はドキッとした。「東京論」特集を思いついたのは、この頃だと思う。熊谷さんの収集した御幣は、五一三点を数えるという(特種製紙蔵)。今ながらにその貴重な仕事に敬服する。少しでも熊谷さんの仕事に近づくことができればと想いを馳せ、今回の特集を企画した。

山本ひろ子さんが言ように御幣は、「神の形象、あるいは祭場の飾り物から」解き放たなければ「とりすました神の依代である」ことをやめない。名もない小さな人びとによって伝えられた御幣の造形美はいうまでもない。しかし、その時その時に立ち会った人びとの想いはいかなるものだったのか容易には分からない。御幣は小さき人びとの想いをこめているが、決して饒舌ではない。

私事で恐縮であるが、父がガンで亡くなる二ヵ月前、私は椎葉村から項いた御幣を父に持ち帰った。少しでも力強い神楽にすがりたかったからだ。五年を経た現在も、故郷に帰ると生前父がアトリエの柱に飾ったままのその御幣がある。それをみると胸が詰まってくる。(眞島)

 

 

 

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