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自然と文化 第62号「瀬戸内を生きた人びと」

 事業名 観光資源の調査及び保護思想の普及高揚
 団体名 日本観光振興協会 注目度注目度5


対談 瀬戸内に生きた漁民たち……沖浦和光+谷川健一

 

◎塩飽諸島の中心・本島◎

谷川…今回、瀬戸内の民俗に大変詳しい沖浦さんの案内で、瀬戸内の島を巡ったのですが、教えられることが多かった大変有益な旅でした。それを振り返って、瀬戸内について考えてみたいと思います。

瀬戸内海といっても非常に広いわけですが、その中心部分は塩飽(しわく)諸島とか芸予(げいよ)諸島だろうと思います。塩飽諸島では本島(ほんじま)という地名自体が、塩飽の中心の島という感じがします。隣に本島よりも大きな島、広島がありますが、それにもかかわらず、本島に中心部分があったことは、人名制(にんみょうせい)と関係があるのでしようか。

沖浦…塩飽諸島は備讃瀬戸に位置していて、大小二八の島々から成っています。広島の方が大きいのだけど、中心は明らかに本島です。それは、広島には船が直接着く港がない、艀(はしけ)で上がらなくてはならなかったからです。

本島には北側の泊(とまり)と南側の笠島(かさじま)という二つの天然の良港があります。また塩飽諸島の本島では縄文・弥生遺跡も出土していますから、かなり早くから開かれていたと考えられますね。瀬戸内の島々は、まだ十分に考古学上の発掘も行われていませんので、有史以前の状況はよく分かっていないのが実状です。

ところで、畿内から九州へ至る瀬戸内海航路は、古代の頃から、山立てをし陸を見ながら航海する「地乗り航路」(陸に沿った航路・23頁参照)が中心でしたから、東からも西から来た時も、本州や四国の沿岸部からかなり離れている塩飽諸島は、主要海路からはずれていました。だから地乗り航路の中継地だった靹之津とか室津のような賑いはなかったわけですね。備前・備後から讃岐へいく時のまあいわば脇道の航路だったのです。

それが江戸時代中期の頃から沿岸部ではなくて中央部を突っ走る「沖乗り航路」が開発されてから、この塩飽諸島のあたりが瀬戸内交通の要になってきたのです。今でも、ちょうど瀬戸大橋が架かっている下が瀬戸内の銀座で、一番多く船が通る場所です。

谷川…本島の笠島に法然の遺跡がありましたね。法然は室津から四国に流される時、本島の専称寺にも立ち寄っていますね。

沖浦…建久の法難で四国に流罪になった時ですね。日付も分かっています。一二〇七年三月二四日ですか、地頭の駿河権守高階保遠(たかしなやすとお)に歓迎されまして、その屋敷に泊めてもらい近所の人を集め念仏の教えを説いたと言い伝えられています。流される時に法然はもう七五歳になっていました。そこで弟子が、「土佐までこの歳では行けないから、朝廷に謝って堪忍してもらったらどうか」と進言したのです。その時、法然は、「自分は今まで都の人にだけ念仏の教えを説いてきたので、田舎に行って民衆に接したことがない、だから民衆に接して南無阿弥陀仏の念仏を広める、いい機会ではないか。そこで死んでもそれが本懐なんだ」と答えたのですね。

そういう意気込みで行っていますから、恐らく本島に上陸してすぐ島民を集めて念仏の教えを説いていたのでしょう。本島の南端にある小坂浦の阿弥陀寺もその旧跡ですね。

谷川…泊や笠島を中心として、本島を治めた支配層の人たちの統治制度を人名制というのですね。

 

 

 

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