そしてもう1つ、四方に囲まれたナカニワは、上記のニワと同じく採光の面で不利となる中央部の部屋への自然光や通風を確保するとともに、職・生活空間と儀礼的空間とを区切るクッション的スペースとして大きな意味をもっている(図3-3)。
3-1-2 平面における列段構成
3-1-2-1 列と間口の関係
間口方向にならぶ部屋の数を「列」、奥行き方向にならぶ部屋の数を「段」として、何列何段というふうに、町家の間取りを分類する。まず、列で分類すると、1列から3列の範囲で4種類に分類することができる。
それぞれみていくと、1列では、間口は3.5間〜5間となっている。つぎに1列半では4間〜5間、2列では4.5間〜6.5間、3列では8間〜9.5間という結果になった。また、それぞれの平均値でみると、1列では4.1間、1列半では4.5間、2列では5.4間、3列では、8.8間となる。
この結果から、当然のこととはいえ、一般的に間口が大きくなっていくと、列も大きくなっているが、個々にみていくと同じ間口の大きさでも列に幅がみられる。これは、通り庭の幅や部屋の大きさの違いによるものであると考えられる。
3-1-2-2 列と段の関係
列と段の関係に着目した場合、まず、1列型、1列半型及び2列型では、ほとんどが3段型となっている。これは、列と段を共に増やしてしまうと、中心に位置する部屋が暗くなるためであり、間口方向に余裕があれば、奥行き方向にはあまり部屋を続けていないのである。これに対し、3列型になると4段型が主流となっている。しかし、3列型では、2段目もしくは3段目に中庭を設けており、これにより採光に不利となる部屋への問題点を解決しているのである。
いずれにせよ、大型町家の3列型の場合においても4段以内の構成となっている。
3-1-2-3 段と奥行きの関係
段と奥行きの関係をみると、3段では奥行き6.5間〜8間、4段では7.5間〜8.5間、5段では11間となっている。このことより、奥行きの長さにともなって、段も増えるということが言えるが、それぞれの段について、1.5間ほどの差がでてくる。これは、家の規模の違いや、特種な立地条件などによるものと思われる。