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写真1-20 漁家

 

1-2 城下町彦根における伝統的民家の残存状況

1-2-1 町別にみた伝統的民家の残存状況

今回の悉皆調査で調査の対象となった町は41町にのぼる。この中で980軒の伝統的民家がみつかった。表Hは、各町における世帯数と調査した民家の戸数、及び抽出率である。ここで使用した世帯数は彦根市統計書《平成10年度版》の町丁大字男女別人口及び世帯数(平成10年10月1日現在)によるものである。抽出率は全体で見ると13%程とあまり高い値ではない。しかし、後三条町を除くと15%強となり、さらに地域別にみると新町や立花町は50%をこすなど残存率はかなり高い。調査結果から作成した1/2500の地図を見てみると、伝統的民家は、第2郭で今も城郭施設がみられる金亀町、第3郭の本町、城町の町なみ、今後の開発が予定されている立花町、昔の足軽居住区であった芹橋、その東に広がる河原町、錦町、芹町やその芹川の南側に位置し、当時は「七曲がり」と呼ばれていた、新町、芹中町、元岡町、大橋町、沼波町などに多く残っている。

伝統的民家が、第3、4郭の足軽・町人居住区に多く、武士居住区にはあまり残っていないことがわかり、武士居住区が明治維新の後に公共施設や商工業地域になったためかと思われる。

武士居住区の金亀町では、江戸期の城郭関連施設や明治以降に建てられたと思われる塀付2階建てが多く抽出率が高かったと考えられる。

 

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表1-1 町別にみた世帯数、民家の調査数および抽出率

 

 

 

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