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第6章 大村の町並み保存とまちづくり

 

1. 武家屋敷通りの町並みの保存

 

前章までに見てきたように、大村には貴重な文化財が多く残されている。特に、微地形にそって石垣・石塀の連続する通り景観が複数存在し、大村藩時代の面影を彷佛とさせる。このような景観は、全国的にも非常に貴重であるといえる。

また、武家屋敷については、現存するものは少ないが、江戸時代に建てられ、空家になっているものについては、早急に保存策が講じられる必要がある。

しかし、玖島城下全体では、神社や大村藩の遺構なども含めて、景観としてはよく保存されている。伝統的建造物群保存地区の導入など、考えられてもいいだろう。この場合、武家屋敷地区では敷地割が保たれていれば、敷地内の建物が更新されている、あるいはない場合でも対象となっており、青森県弘前市、山口県萩市などのような事例もある。

さいわい、大村市都市計画課を中心に街路の整備などが進められている。史跡・文化財を核として、散策道路計画も整備されようとしている。一方で、都市景観条例の整備が進められているが、文化財の保存との連携がはっきりと見えてこない。他都市では、古い町並みを伝統的建造物群保存地区として都市景観条例の中心に位置づけている事例も多い。大村市にも、そのような対策が望まれる。

 

2. 文化財としての登録

 

(1) 登録文化財制度の全国的な動き

もうひとつ、新しい制度として文化財登録制度がある。これは、新しい制度なので以下に紹介する。

文化財登録制度は市町村から始まった。先進事例として神奈川県横浜市や北海道小樽市などがある。ほとんどの場合、自治体独自で歴史的建造物の実態調査を行い、審議会等で登録物件をリストアップしたり、登録の候補を決定する。その後、所有者の同意を得る所もあれば、通知に留まる所もある。

所有者が自ら登録を希望するケースは、全くない訳ではないが希である。このような場合、登録のための調査や審議が必要になり、登録までに時間がかかることが多い。

 

 

 

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