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9. 有料道路、バイパス建設(S53〜57工事)

造成工事を行った場所の水系自体は、直接姉子の浜につながっていないと思われるが、鹿家漁港から海流の影響で赤土が流入した可能性は考えられる。また後背地の森林資源の破壊による、間接的な影響が考察できる。

一方通過交通の車両に対して、国道202号線を使わなくなったため、姉子の浜のパーキング等への立ち寄りが減少するとも考えられる。

 

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バイパス工事前(鹿家区楢崎圭介氏撮影)

 

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バイパスエ事中(鹿家区楢崎圭介氏撮影)

 

10. パーキング設置(H3工事)

建設省の事業によって、国道沿いの休憩施設として設置された。用地造成工事に伴って、砂浜の幅の減少、土砂の混入等がおこった。このことが鳴き砂のマイナス要因の一つになったと考えられる。

しかしこのパーキングの設置に伴う最も大きなマイナスの影響としては、海水浴客の訪れを助長していることや、休憩目的のドライバーによる吸い殻等のゴミのポイ捨て、花火等の燃えカスなどの放置などが頻繁に起こるようになったことであると言える。これらの直接的な砂浜への汚染原因が、現状での深刻な鳴き砂の阻害要素である。

 

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西側からパーキングを望む

 

11. 漂流物の変化、生活の変化

かつて砂浜への漂流物の主流は、藁や竹、小枝などの有機物であった。当時はこれらは薪として、付近の住民にとって生活の中で重要な存在であった。また残ったものも腐ることによって土へとかえっていった。しかし現在はそれらに加えて、空き缶やビニール、発泡スチロールなどが多くなり、それらは利用することも、また土に還元されることもなく海岸に溜まっていっている。またこれまで必需品として回収されていた有機物なども、生活スタイルの変化と共に、利用されることなく大量に海岸に溜まるようになった。これらのことにより、清掃活動や波の洗浄がなければ、砂浜にゴミが蓄積され続けることになったと考えられる。

 

 

 

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