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写真1 ある日の洋食のメニュー

白身魚のポトフーは汁とともにとれ、軽い障害ならばそのままで摂食できる。

 

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写真2 ある日のミキサー会

同味を損なわれないよう素材別にミキサーにかけ、豆腐のように加工せずに食べられる食品を1品つける。

 

当院の嚥下障害は、末期の全身衰弱によるものを除くと、延髄レベルの脳神経諸核(舌咽、迷走、舌下神経)が侵された球麻痺によるものと、頸部や縦隔の病変によって侵されやすい反回神経麻痩によるもの、また術後後遺症や炎症症状などによって引き起こされるものやこれが合併する場合が多くみられる。

 

嚥下障害への対応

これらに対して、以下のようなケアと食事援助の検討が行われている。

1]嚥下障害による窒息や肺炎に対しての看護および食事提供面での対応

2]既存の対応方法では十分な経口摂取が得られない症例に対しての低栄養や脱水の予防と評価

3]食欲は薬剤処方等により回復の兆しをみせたが、器質的に摂食が困難な場合の食べる楽しみの喪失への対応

4]全身衰弱により起こる終末期の嚥下障害の場合、家族の不安や摂食に対するこだわりに対して、どのようにサポートするか

1]に対しての食事面でのサポートは、個体差をもつ嚥下状態に対して嗜好や形態面での配慮を行った嚥下援助食を提供している。

 

表2 T.S.(Terminal Special)食

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図3 ファイナルステージの食種

 

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図4 TS継続期間の人数分布

 

一般的に嚥下援助食の調理上の要点は食材として均一であり、咽喉通過時には半固形状態であって食道に至っては流動状態に変化する形態、あるいは形状的なものとする調理上の配慮が中心となるが、往々にして患者は、好物の食材には積極的な摂取行動がとれることから、嗜好面での配慮も重要な要因である。

また、嚥下機能は、個々人の障害の部位や程度、あるいは患者の精神状態や意識レベル、あるいは生への意欲によっても影響を受け、状態は刻々と変わるものであることに留意すべきである。

 

 

 

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