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まえがき

 

財団法人ライフ・プランニング・センター理事長 日野原重明

 

日本での最初の独立型ホスピスとして、ピースハウスホスピスが創設されてからはや6年半が経過した。そして、1999年4月には、ピースハウスのある神奈川県中井町の町内に、「訪問看護ステーション中井」を発足させるに至った。これによって、在宅ホスピスケアを実施する基盤が整ってきた。がんの末期を在宅で過ごしたいという患者さんの願いに応えて在宅ホスピスケアサービスを提供できるようになったということは、私たちの事業がまた一歩広がったという意味で、大きな喜びである。

 

さて、私たちの財団は、日本看護協会の委託を受けて、ホスピス専門ナースの養成教育を行っているが、その事業を遂行する中で、ホスピスナーシングやホスピスボランティアの具体的な展開が活発に行われるようになってきた。

現在わが国には68施設に及ぶホスピスならびに緩和ケア病棟があるが(2000年2月現在の緩和ケア病棟承認施設。「全国ホスピス・緩和ケア病棟連絡協議会」より)、私たちの施設ほど緩和ケアに関する教育プログラムを活発に行っているところは少ないと思われる。すでに恒例となったホスピス国際ワークショップは今年度で第7回を数えるが、毎回海外からテーマに沿って一流の講師を招聘して開催する当ワークショップは全国のホスピス関係者から高い評価をいただいている。

また、その活動は国内のみにとどまらず、これまで5年間取り組んできたアジア太平洋地域ホスピスネットワークがいよいよシンガポール市にオフィスを設け、実際に活動を始める体制が整備されるに至った。その経緯を1999年5月に香港で行われた「第5回アジア太平洋地域ホスピスネットワーク会議」の報告として本誌に掲載した。加えて、本誌には5本の研究報告およびホスピス教育研究所の年間活動状況が報告されている。

 

ピースハウスホスピスの1階はいわゆる病院施設であるが、2階で研究所の事業が頻繁に行われていることは感謝である。

 

2000年3月

 

 

 

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