高齢者では腰椎の圧迫骨折、腰椎すべり症、椎間関節の障害、椎間板の障害、脊椎管狭窄症、腰背筋の過労など、背骨の変形が徐々に悪化して痛むようになったり、若いときに起きた障害が悪化したり、骨粗鬆症の進行や悪性腫瘍の脊椎転移により骨が弱くなって潰れ、腰痛が起こることがあります。
腰痛と下肢痛の関連は
背骨は大黒柱であるだけでなく、脊椎管(d)は脊髄や馬尾と呼ばれる神経の束を囲んで守っているのです。大きな荷物を支えるために、柔軟な腰椎が骨増殖により変形するのは、腰痛を軽くするには合理的な現象ですが、この変形が馬尾や腰神経を障害すると、下肢の痛みや麻痺を起こすことになります。若年者の椎間板ヘルニアとか高齢者の脊椎管狭窄症がこの例ですが、この場合は腰痛は軽く下肢痛が主となることが多いのです。
腰痛が起こってしまったときはどうしたらよいのでしょうか
腰痛が最も楽になるような姿勢と動作をするように心がけます。一般的には寝る場合は横を向き、背中を丸くするのが楽ですし、仰向けになる場合は、膝を折り曲げて立てていたほうが楽です。安静にしていても腰痛が変わらない場合は、整形外科的な疾患より内臓の疾患を疑い、かかりつけ医に相談します。
腰背部や殿部の痛みで、姿勢や動作により痛みが変化するような場合は、まず整形外科に行き、骨、関節、筋肉の異常による疾患か、その他の原因による疾患か、診断を受けるのがよいでしょう。
治療は日常生活に支障がなくなるまで、時間をかけて運動療法、物理療法(リハビリ)、薬物療法などを行います。