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最後に、注意が散漫なとき。これは誰にでもあります。そのときはコミュニケーションの能力がお互いに低下しているのだということを覚えておくのが大事です。時間が非常に切迫しているとき、身体的に不快なとき、周りがうるさいとか、いつもとは違う状況のとき。たとえば5月の連休の前日に、次の週のことについていろいろ言っても相手はうわの空でしょうし、またそんなときにその人のやった手落ちについて延々とお説教をしても、多分右から左へ抜けてしまうのではないかと思います。

自分の注意が散漫になっているときは、それを自分で自覚するということ。それから相手に対する関心がどのくらい集中しているかを、ちゃんと判断することが大事なようです。

 

自分の場を確立する

 

白衣の持つ権威ということについて、私が考えていることをお話ししようと思います。

いかに権威を上手に使うかということです。権威というと、日本の場合いかにも悪いもののように思いがちな長い歴史がありました。頭ごなしに何かをするのはよくない、何でも相談することが大事だという価値観です。父性原則、母性原則ということをエーリッヒ・フロムがいっております。母性原則というのはすべて平等にという精神で、父性原則というのはいいものはいい、悪いものは悪いということです。

 

 

 

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