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ですから、そういう意味でもプロフェッショナルとしての研鑽を積むということがとても大切です。

プロの目ということからいくと、写真家と話したことがあるのですが、その方は、やはり事故の現場などはとても怖いのだけど、いったんカメラをかまえてレンズを通して見ると、個人的な反応は一切消えてしまう。どうやっていい構図で撮って、どうやってそのインパクトを伝えようかということで怖さが気にならなくなる、プロというのはそういうものなのです、と言っておられました。

満員電車が非常に不愉快なのは、ニンニクくさいとか、身体が密着するなどということ以前に、やはり本来なら知らない人には入ってこられてはいやな、しかも親密な関係の人以外は入ってこられてはいやな人にそこに入ってこられることだといえるようです。

距離とコミュニケーションの関係からすると、同じことを言っても、どの距離で言われるかで受け方が違ってくるということです。「夕べあれからどうしたの?」と親密な距離の中で言われた場合と、みんなに聞こえてもかまわない社交の距離で言われた場合とでは、受け取り方が全然違ってきます。それに気づかないで、本当は2人の間のことなのに、みんなの耳に入るような大きな声で言ってしまったり、逆にみんなの耳に入ってもかまわないようなことをこそこそと言ってしまったりということでは、相手の受ける印象、自分とその方の関係に誤解が生じることがあるようです。

 

 

 

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