日本財団 図書館


欧米の文化では、相手の目をきちんと見ないのはこころにやましいことがあるからだ、目が合わせられないのは隠したいことがあるからだととられることがあります。ですから相手の目をきちんと見てものを言うことは大事です。

日本の場合、長いこと女性は伏し目がちがいいとされてきましたから、相手を見るのは恥ずかしいし、失礼にあたるのではないかといって、つい避けたくなるということがあるかもしれません。

日本の女性で、パリで長いこと仕事をしている友人がいます。その方が大変おもしろいことを言っていました。日本に帰ってきて何日かすると目が小さくなるというのです。どういうことかと聞いたら、パリで仕事をしていると目をカッと見開いて、相手のことをじーっと見ながらこちらが押して攻撃的に話さないと蹴落とされてしまうのだそうです。日本に帰ってくると、たとえば食事に行っても、おまかせ定食というのがあるように(笑い)、自分で主張しなくても相手が気持ちを汲んでいろいろのことをわかってくれる。かえって目をカッと見開いていると攻撃的だと思われてしまう。大変楽だからとおまかせしているうちに、何日かすると目が小さくなってくるというのです(笑い)。だから、あんまり目が小さくならないうちにやっぱりパリに帰ろうかと話していましたが、そういう意味では目をぱっちり開いて話すということは、こちらの伝えようとしていることを、相手にきちんと伝える意味ではとても大事なことだと思います。

目をきちんと見開いているということは、同時に相手のことをきちんと見ているということになります。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION