日本でも、最近はいろいろな病院でボランティアを受け入れるようになってきました。2年前に、フィンランドに行って、ある老人ホームを訪問したとき、婦長にフィンランドのボランティアについて尋ねたのですが、「フィンランドにもボランティアは少しはいる」という程度の答えでした。イギリス、カナダ、アメリカはボランティアがとても多いです。とくにイギリスは一つのホスピスにボランティアが900人もいて、経営的にも大きく寄与しているという活動があるのですが、フィンランドでは医療は国営で、しかも社会福祉も充実しています。必要な医療は国で整えているために、ボランティアの数は少ないようです。ただ、教会から派遣される奉仕者はいます。その老人ホームの責任者は、「ボランティアがもっと来てくれるとありがたいのだが」とは言ったあと、「あの部屋の患者さんには家族がボランティアとして時々来てくれます」という言い方をしていました。「家族の方が来てみてくれるのですか」と聞いたら、「そうです。ボランティアとして身体の清拭に来てくれるのです」という。つまり、ボランティアという意味が、日本とは違っている。その施設の職員でなければ、家族であっても自分の任意で来てくれるのであればそれをボランティアといっている。国によって考え方に違いがあるものだと思いました。日本の場合は、家族がその患者に対してやっている場合はボランティアとしてやっているとは言いません。むしろ当然のことのように思いますね。「あのご家族は来てもくれない」とか言いますね。