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聖書の箇所ごとに明確な使い分けがなされているのかもしれません。しかしいずれにしても“癒される”というのは、もちろん身体が治っていくということもあるのでしょうが、身体の治ることと同時に精神的にというか、心の状態をも含め解放されるというときに“heal(癒された)”という言葉が使われているようです。あるいは心の解放によって身体のことはもはや問題でなくなってしまい、そしてcomplete wellになったという理解もできましょう。

もっとつっこんで言いますと、病いの床にあって、そして死を迎えざるを得ないような状態になったときにも、死ぬべきものでありながらも、キリストの十字架の贖(あがな)いを通して永遠の希望に満たされて癒される。そのような意味において癒しという言葉の本質があるといえましょう。このような自分を超えた大きな力に頼ることによって癒されるという点では、仏教においてもまた他の宗教においてもどこか共通した面があるといえるかもしれません。癒しということを私自身がもっとも関心をもって学んできたのが聖書なので、聖書の癒しに触れました。

話は変わりますが、先週、日本心身医学会が弘前で開催されました。その学会で、「津軽と沖縄のシャーマニズムにみる癒し」という特別講演がありました。津軽や沖縄では今でもシャーマニズム(イタコ、ユタなど)が盛んであって、そこで癒しが行われているという話でした。話そのものをみなさんに紹介しようということではないのですが少し触れてみたいと存じます。

 

 

 

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