ギャンブル依存症の場合、ギャンブルしながら借金をし、金銭的に行き詰まってしまうのです。サラ金などからの督促がくるかもしれません。そして、ある日、妻は、「夫がギャンブルをしている」ということがわかります。夫は数百万円の借金をしていることをいままでは黙って隠していたわけですが、それがわかると、妻に「悪かった」と謝るでしょう。そして、貯金があることを夫が知っていれば、妻に「もう二度としないので、貯金から借金を返してほしい」と頼むでしょう。本気で、「もう絶対にしない」と誓います。妻は「あなた、絶対にしないわね」と念を押します。夫は「絶対にしない」と約束します。それで妻は夫が借りた数百万円を返済します。数百万円も使ったのですから、これで夫はギャンブルをしなくなると妻は思い込みます。ところが、しばらくは大丈夫ですが、数ヶ月が過ぎますと、再び夫がギャンブルをしていることに気づかされます。そうするとまた夫は「魔がさしてしまった、今度は絶対しないから」と。もう貯金もそんなにないので妻の実家や夫の実家から借りて、「もう絶対しないわね」とまた返してあげます。では本当にこれからしないかというと、ギャンブルをする人は依存症なのですから、また始めます。これが繰り返されていくのです。
なぜ繰り返されていくのかということですが、それは妻が夫にこの「原因・結果の原則」を体験させるように対応していないからなのです。たとえば、どこかの銀行で100万円借りました。ところがその100万円の借金がなくなっていました。「あれ、どうしたんだろう? 銀行が間違ったのだろうか、コンピュータのミスかな」と思い、銀行に問い合わせました。「いや、間違いではありません。あなたは借りているようにはなっていません」と言われました。さて、どうするでしょう。「おかしいなあ、じゃ、もう一回やってみようか」。また100万円借ります。しばらくしたら、また100万円の借金がなくなっています。また聞いてみました。「あなたは借りていません」。そうしたら、「さらにもう一回やってみようか」となるのではないでしょうか。