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多くは、ここであげてしまうのです。それではバウンドリーは形成されません。そうではなく、なお情緒的に、やさしい心で、子どもに「あのとき約束したでしょう。きょうはないのよ」とだけ言えば十分です。「だから言ったでしょう」などと絶対言ってはだめです。そう言ったらもうほとんど効果がありません。なぜかというと、情緒的に子どもと結合していないからです。結合している状態が一番インパクトを与えることができます。この時に親に確信があるなら、このような対応が可能となります。おそらく子どもは泣くかもしれません。それでもやさしい心で「ノー」です。そしてあとはあまり相手にしないことです。泣き続けても「じゃ、今度食べられるようにしようね」と言って、その場を少し離れることです。子どもに泣かれると親のほうがコントロールされますから、少し別のところに行くことでバウンドリーを築くことです。涙を流すかもしれませんが、それにもごまかされてはいけません。「大変だねえ」と言って、涙をぬぐってあげたりしたらいいのです。次の日にもまた同じことを繰り返すことです。おそらく子どもはニンジンを一生懸命食べるようになるかもしれません。しかし、その日も食べないならさらに同じことを繰り返していけばいいのです。

そして、これと同じことをありとあらゆる領域で実践することです。たとえば、夜は何時までに寝させることもこの方法は非常に効果があります。バウンドリーの形成はこのような親と子どもとの関わりから形成されていきます。

「自分を失うことなく情緒的に結合する」ことの重要さは、大人の人間関係でもいえることです。大体「ノー」と言うときには多くの方々は相当カッカッきているのではないでしょうか。そうしたら効果は半減するか、あるいはなくなってしまいます。どうしてもこれだけは譲れないことについては、夫に対しても、また誰に対しても、本当にやさしい気持ちで「ノー」と言ってみて下さい。

 

 

 

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