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逆に、バウンドリーが確立すると、自分の責任の範囲が明らかになりますので、相手も自分の領域が自覚できるようになり、互いに自立した人間関係が築かれるようになるのです。

 

【事例1】

私がカリフォルニアにいたときにこういう相談を受けたことがあります。国際結婚した方で、奥さんが日本人、ご主人が日系アメリカ人でした。ご主人は非常に明るくて、典型的なアメリカ人です。日本人の奥さんも、彼をそういう面では非常によく認めてはいるのですが、一つどうしても受け入れることができない癖が彼にはありました。それは、アメリカの新聞は日本の新聞の3〜4倍ほど分厚くて、どさっと置かれるほどページ数が多いのです。彼は、朝、新聞を読みますが、読んだあと片づけないで、散らかしておくというのです。奥さんはご主人に対して「片づけて」と何回か言うと、2、3日は片づけるのですが、また元に戻ってしまうのです。もう諦めて、全部自分で片づけていたのです。しかし、「どうもこれだけは許せない」と思いながら新聞を片づけてきたというのです。

そこで私は、「あしたから片づけるのをやめなさい」と言いました。「でも、そうしたらリビングルームが新聞でいっぱいになります」と即座に言いました。私は「それでもいいからやめなさい」と言うと、「でも、4、5日たったらリビングルームだけではなく家の中が新聞だらけになります」、「それでもやめなさい」と明言しました。最後に「わかりました」といって帰られました。

その結果はどうだったのでしょうか。1週間後に大きな笑みを浮かべて、「先生、うちの主人、片づけるようになりました」と報告してきました。奥さんが新聞を片づけなくなったとき、以前と同じようにまたガミガミ言うんじゃないかとご主人は思っていたようですが、今回は何も言わなかったのです。

 

 

 

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