3月10日(水)
○本日のスケジュール・内容
Jose Rodriguez Memorial Hospital
Dimasalang Health Center
DOH(Department of Health:フィリピン保健省)を訪問
Jose Rodriguez記念病院訪問
緑に囲まれたゆったりとした造りの病院であった。国内にある8つのハンセン病病院の中で最も大きくベッド数は2,000床ある。若手のDr.Reyesがスライドを使って一般的な説明をして下さった。1997年時点で、Leprosyのprevalence rateは、アメリカ大陸(南米含む)1.63%、全世界1.54%であるのに対し、東南アジアは、4.5%と非常に高値を示している。患者数の多い国をみると、インドがトップで、ブラジル、インドネシアがそれに続き、フィリピンは第13位となっており、その有病率は1.25/1万であるが、ほぼ全てMDTでcontrolされており神経麻痺等の後遺症が問題であるという。治療スケジュールはMB(Multibacillary Leprosy)に関して12ヶ月コースに切り替えてゆく方針であるが、ここはMDTパッケージが笹川記念財団より十分支給されているため、まだ24ヶ月で行っている。
説明後、施設内を見学した。2000床の収容能力があるもののハンセン病での入院者は100人以下で、彼らのほとんどは"cured"である。治療中の患者数は、年々減少傾向にある。"cured"であるにも関わらず、社会復帰していない理由としては、Leprosyであると診断されたことによる差別を本人およびその家族が懸念している点、deformityが残っている点が挙げられた。前者に関しては、約10年前までは、根強い差別が存在していたため、たとえLeprosyであってもleprosariumに来ることを拒む患者が多かった。しかし、政府によりLeprosyに関する正しい情報の教育が強化されたため、差別は減りつつある。後者に関しては、deformityがあるというだけでも、差別の対象になりやすいが、deformityによる食事、仕事などの日常生活上の問題が生じてくる。視力喪失という問題も大きく関与してくるのである。政府は、このような人々に対して、すべて無料で入院生活できるように保障している。具体的な入院生活に内容は、deformityに対しては、手術やある種のphysical therapyを施行し、一般的な教育、裁縫などの職業訓練も行われている。また、家族との面会は自由に行われており、患者同士で結婚することもある。30人の医者がおり、入院患者の健康管理を行っており、時にはLeprosy以外の手術を施行することもある。また、外来部門もあり、周辺地区の住民の診察も行っている。
実際に病院をまわってみて、患者さんたちは絵を描いたり、談笑したりと、朗らかに生活をしているように感じ、のんびりとした印象を受けた。病棟では患者さんとの交流の時間を与えて頂いた。日本では見られないようなひどい後遺症の残る患者さんの姿に最初は衝撃を受けた一同であったが、次第に打ち解け、それぞれ心に残る交流が出来たようだった。その他、スキンスメアの検査を行うラボ、リハビリ施設、軽症の患者さんや家族が働く人形工場(若い女性ばかり。活気に溢れまくっており、一同圧倒される)を見学した。