日本財団 図書館


食べもの

 

1 低下する食料自給率

日本の経済発展に伴う所得の増大によって、日本人のカロリー摂取量は着実に増加し、食生活の内容も多様化、洋風化が進み、米の消費量が漸減し他の農水産物消費の比重が高まっている。国民1人・1年当たり供給純食料(注1)をみると、米は1980年の78.9?sから98年には65.2kgへと減少しているのに対し、肉類は、22.5?sから28.0?sへ、牛乳・乳製品は65.3?sから92.3?sへ、鶏卵は14.3kgから17.3?sへと増加している。そのほか野菜は112.0?sから99.0?sへと減少、魚介類は34.8?sから33.8?sと変化が少ない。

こうした食生活の多様化と供給サイドの貿易自由化の進展から安価な外国産食料の輸入が増大しているが、国内の農水産物の生産をみると、農業生産指数は70年代半ばから、年により変動があるが総じて横ばいである(耕地面積は、60年対比99年では19.8%減少し487万ha)。また、水産業生産指数は80年代半ばをピークに減少傾向にある。

一方の農産物輸入数量指数は、95年以降は横ばいであるが80年対比97年は2.1倍、水産物も95年以降は横ばいであるが、80年対比97年は2.8倍となっている。

図1左

図1右

こうした状況から、日本の食料自給率は、傾向的に低下している。供給熱量(カロリー)でみた食料自給率(注2)は61年度には78%であったが、その後低下を続け97年度には41%しかない。重量ベースでみた穀物自給率(飼料用を含む)はこの間75%から28%に低下している。穀物自給率を国際的に見ると主要国の中では最低の水準にある(参考)。

図2左

品目別では、消費が減り生産過剰気味の米はほぼ100%自給しているが、牛乳・乳製品、野菜、果実などは自給率が低下している。日本は有数の漁業生産国(中国、ペルー、チリに次ぐ)であるが、漁獲量は減少傾向にあり、自給率は大幅に低下している。

小麦は70年代の4%から持ち直したがなお9%と低く、大豆は97年度3%とほとんどを外国に依存している。

図2右

こうした依存の状況を食料輸入(通商白書による)についてみると、金額では1998年5兆4078億円で、日本全体の輸入の14.8%を占める。品目別(金額)では、魚介類が最も多く全体の30.4%、次いで肉類16.3%、以下穀物とその調整品、野菜、果実と続く。

食生活の洋風化が自給率の低下の要因となっている例として、農林水産省は献立ごとに計算した自給率をインターネットで公開している。その例のひとつは、次ぎの通りで、洋風メニューの方が自給率が低い。

 

朝食和食メニュー 561カロリー 自給率56% 脂質エネルギー比率25%

ごはん、味噌汁(豆腐、わかめ、米味噌)、ほうれん草のおひたし、生卵、納豆(1/2パック)、さわら(一切れ)

朝食洋風メニュー 555カロリー 自給率14% 脂質エネルギー比率53%

トースト(食パン、バター)、オムレツ(鶏卵、油)、ウインナー(2本)、野菜サラダ(レタス、きゅうり、ドレッシング)、牛乳

 

2 食料輸入大国の日本

図3左

(1) 輸入食料は、どこから来るか。輸入金額でみて、98年では、アメリカから30.1%、アジアから31.6%、EUから9.9%となっており、国別では、アメリカに次いで、中国11.1%、オーストラリア6.4%、タイ5.0%、韓国4.2%と続いている。

特定品目の主要輸入先国をみると(カッコ内はその品目の輸入総額に占めるシェア)、牛肉はアメリカ(58.4%)、オーストラリア(37.1%)から、えびはインドネシア(24.0%)、インド(19.9%)、タイ(9.2%)、ベトナム(7.9%)から、マグロは台湾(24.9%)、韓国(7.3%)、インドネシア(9.4%)から、野菜は中国(44.5%)、アメリカ(24.3%)、韓国(6.2%)から、アルコール飲料はフランス(43.8%)、イギリス(12.5%)、アメリカ(9.9%)、イタリア(8.6%)からの輸入が多い。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION