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雇用と失業

 

1 日本の男子の経済活動人口比率は若年で低く、高年で高い。働き盛りは各国とも大差なく高い

図1

男子の年齢階級別経済活動人口比率(注1)を国ごとに比べてみると、日本は中年以上でどの国よりも高く、特に高齢での高率が目立っている。一方24歳以下をみると、日本は低い方に属している。これは高等学校など中等教育の普及が行き届いていることも関係していると考えられる(「教育」30頁参照)。25歳一50歳の、いわゆる働き盛りの年代については、各国とも大差なく高いが、その中でも特に日本は高水準にある。この高水準が更に上の年代に続いていて、日本の高齢者の経済活動を高い水準に保っている。一方、高齢者で経済活動人口比率が目立って低いのは、ドイツとイタリアである。例えば、65-69歳をみると日本が50%余であるのに対して、ドイツ、イタリアは10%前後と低い。

 

2 日本の女子の経済活動人口比率は依然としてM字型顕著、欧米主要国はほとんど谷なし

図1

女子の年齢階級別経済活動人口比率は、男子のそれと大きく異なる。多くの国で結婚、出産、育児などの影響がみられ、特に日本は顕著で、30歳あたりを谷にしたM字型を呈している。韓国も日本の形に似ているが、アメリカ、カナダ、ドイツは谷が浅く、イタリア、インドネシアには谷がみられない。

若年と高年の特徴をみると、日本は男子に似て若年(15-69歳)で低く、高年で比較的高い。

ちなみに日本の若年女子の経済活動人口比率を過去20年余りさかのぼってみると、表1のとおり、比率の水準は以前ほど低く、谷も深かったが、次第に水準は高まり、谷は浅くなっている。このことは、以前は多くの女子が結婚、出産、育児等で仕事から身を引いていたが、次第に仕事をし続けるようになっていることを明瞭に物語るものである。

表1 若年女子の経済活動人口比率(日本)

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*30-44歳

 

3 上昇してきた日本の失業率、アメリカは漸減して日米逆転

図2

失業率(注2)の水準は、図2にみられるように各国まさにまちまちである。日本は過去長い間低い水準を保っていたが、ここ数年じわじわと高まりをみせ、1999年には4.7%にまで上がった。2000年1月には高卒、大卒者の就職内定率が過去最悪となっているが、失業率の高まりはこのことともよく符合している(参考)。

ここ数年、日本と対照的な動きをしているのはアメリカで、92年の7.5%をピークに次第に低下し、99年には4.3%と、ついに日本と逆転した。カナダはアメリカより高水準だが、変化はアメリカに似たパターンとなっている。ドイツは91年から急上昇しているが、これは旧東西ドイツが統合したことによるものと思われる。イタリアは、波はあるものの、以前から高水準で推移している。アジアの2国フィリピンと韓国が近年急上昇しているのは、この頃の「アジア危機(金融、経済)」のためと考えられる。

 

4 大きいパートタイム労働者の割合

図3

各国の雇用者中に占めるパートタイム労働者(注3)の割合を、定義に若干の差異はあるが、国際的に比較してみると、日本は増加傾向にあり、男女ともアメリカ・OECD平均に比べて高い。また、80年当時と対比してみると、男女計で日本は急速に高くなっている(表2)

 

 

 

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