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世界の人口

 

1 世界の主要地域別人口

図1

1960年には世界の人口は約30億人だったが、99年にはその倍の60億人に達し、わずか最近の12年の間に人口は10億人増加した。世界人口が40億、50億、60億に達するのに、それぞれ14年、13年、12年しかかからなかった。60億人の人口のうちほぼ半数は25歳未満であり、また、10億人余りが次代の親となる15歳から24歳の若者である。世界人口は毎年7,800万人ずつ増加しており、これはドイツの全人口よりわずかに少ない数である。人口増加の95%以上は開発途上国で起きている。ヨーロッパ、北アメリカ、日本では人口増加のペースが鈍化し、あるいはとまっている。アメリカは先進国のなかで唯一、大幅な人口増加が見込まれているが、その多くは移民による増加である。世界人口に占める移民の割合は総人口の2%前後である。90年において先進国では人口の4.5%、途上国では1.6%を移民が占めていた。

図2

現在の開発途上地域は、先進国がほぼ半世紀前に移行を果たした人口転換(高出生率・高死亡率から低出生率・低死亡率への転換)の中間段階にあるといえる。人口転換の初期の段階では、死亡率低下の速度が出生率低下の速度を上回って人口増加が続くが、出生率低下が十分に進めば人口増加も鈍化してゆく。また、人口転換の初期には死亡率の低下が主に乳幼児死亡の減少によって起こるので人口はむしろ若返るが、死亡率の低下が主に中高年死亡の減少によってもたらされる段階になれば、死亡率低下も人口高齢化を促進する要因になる(参考)。世界のなかで最も人口増加が激しいのは、サハラ以南のアフリカ、南アジアと西アジアの一部である。大陸別ではアフリカの人口増加率が年2.4%で最も高い。アジアは世界人口の6割を占めている。

 

2 人口の多い国の総人口、人口増加率、高齢化率

表1

現在は中国の人口が世界の5分の1で最も多いが、表1やがてインドが中国を抜く。人間は健康状態がよくなり、寿命が長くなると、「人生はくじではなく、投資である」という考えをもつようになる。これまでの経験から、多くの人は選択の可能性が出てくるようになると、これまでの世代よりも家族の数を少なくする選択肢を選ぶことがわかっている。より多くの人たちが子どもの数を選べるようになれば、家族の人数が減り健康状態が向上する。その結果として、人の寿命が延び、人口増加率の低下をもたらす。

 

(参考) 年齢構造指数の国際比較

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資料:国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料1998年」

※数値は、年少人口(0〜14歳)、老年人口(65歳以上)の人口を、それぞれ15〜64歳の人口で除した比率である。

 

 

 

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