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潤いのあるまちづくりシンポジウム「ユニバーサルデザイン最前線―みんなにやさしいまちづくり・モノづくり・ヒトづくり―」

 

大阪府立産業デザイン研究センター

 

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スライドを使って講演するブルース・ハナ氏

 

次の社会づくりのキーコンセプトとして「ユニバーサルデザイン」が注目されだしています。

ユニバーサルデザインは、今日のプロダクトデザインやグラフィックデザインなどデザインを昇華させ、子どもから高齢者、障害者まで、そして、性差や地域、人種のバリアを乗り越え、すべての人の要求や心地に応えうるような環境や道具やコミュニティをつくりだすことを目標としたユーザー主体の開発の考え方です。

自治省、大阪府(府立産業デザイン研究センター)、財団法人自治総合センターでは、平成11年12月1日(水)、大阪商工会議所において、シンポジウム「ユニバーサルデザイン最前線―みんなにやさしいまちづくり・モノづくり・ヒトづくり―」を開催しました。

このシンポジウムでは、アメリカで先進的な活動を続ける気鋭のデザイン・コンサルタントブルース・ハナ氏による基調講演をもとに、まちづくり、モノづくり、ヒトづくりの3分野の専門家を迎え、21世紀の社会づくりの鍵を握るといわれる"ユニバーサルデザイン"の最前線に迫ります。

会場は500名を越す参加者で満席となり、基調講演とパネルディスカッションに熱心に耳を傾けていました。

このシンポジウムの要旨を報告させていただきます。(文中敬称略)

 

○基調講演

 

「Access For All みんなのために」

ユニバーサルデザインを考えるための催し「アンリミテッド・バイ・デザイン展」は、98年秋から99年春にかけて、クーパーヒューイット・ナショナルデザインミュージアムで開催された。

この講演では、この展覧会の内容をもとにユニバーサルデザインを考察する。

ユニバーサルデザインは、幅広いユーザーを対象とし、毎日利用する環境、製品、サービスを包括的にデザインすることを意味し、この実現にはディテール(細部)への配慮が重要となる。また、ユニバーサルデザインは、いいビジネスにもなりうる。

まず、「デザイン(DESlGN)」という言葉を定義してみる。

Dは、デモグラフィクス(人口統計学)、つまり人。人はみんな同じではない。違いを理解することで世界の見方を変えることができ、より良くより直観的にデザインできるようになる。

Eはエコノミクス(経済)。経済性からのアプローチ。

Sはセンシス(感覚)。五感の活用。

lはインテュイション(直観)。「そうなのか!」というひらめきが重要。

 

ブルース・ハナ Bruce Hannah

 

デザイン・コンサルタント

プラット・インスティテュート工業デザイン学部教授

1963年プラット・インスティテュート卒。工業デザイン学部長を経て現在、同学部教授。76年ハナ・デザイン創設。80年代から教育カリキュラム、教科書の作成や著作などを通じて米国でユニバーサルデザインの実践に幅広く取り組む。

 

 

 

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