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自治だより 平成12年1月号

(通巻NO.135)

 

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コンピューター西暦2000年問題に思う

松本英昭(自治総合センター理事長)

 

世界が注目した「コンピューター西暦2000年問題」も、どうやらとりたてて問題になるようなこともなく済んだようである。

この問題は、20世紀の最後の四半世紀に急速に進歩した電気通信技術と情報処理技術そのものに関するものであったが故に、いわば人類の威信をかけた問題であったともいえる。したがって、早くから警鐘が鳴らされ、対応が進められてきたが、何分、その技術の先端性とあまりにも広範な分野に関係する(らしい)ことであったことなどから、最後まで不安を拭い去ることは出来なかった。

我国においても、小渕総理自らが呼び掛け、特別な体制をもってこれに対処してきたところである。それだけに、正直なところ多くの人が胸を撫でおろしたことであろう。

「備えあれば患(うれえ)なし」という。今回の「コンピューター西暦2000年問題」の推移が「備えがあった」からさしたる「患(うれえ)」がなかったのか、そもそもさほど「患(うれえ)」は生じない性格のものだったのか、どちらであったのかよく分からないが、私としては前者と思いたい。

今回の「コンピューター西暦2000年問題」のように、そのまま放置しておけばどれ程の影響が出るのかあまり確信が持てないような場合、人は必ずそれを強く意識してあらかじめ備え、それが起こったときの対策までも準備する。「コンピューター西暦2000年問題」における「危機管理計画」の策定なども、その例であろう。ところが同時に、人間は確信を持ちはじめると、とんでもない大きな間違いを起こし重大な結果を招くことがある。

 

 

 

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