第13回海外公営企業事情調査団に参加して
田中秀俊(自治省財政局公営企業第一課課長補佐)
はじめに
北は札幌市から南は沖縄県まで広く地方公営企業に携わる皆さんと一緒に、(財)自治総合センターが主催する第13回海外公営企業事情調査団に参加する機会を得、7月5日から14日までの10日間、ドイツ・スイス・フランスの3ケ国を訪問し、海外の公営企業の調査及び意見交換など国際親善も兼ねて色々と勉強させて頂きました。
私たち総勢20名の調査団は、日頃国内で抱えている問題について情報交換を行う一方、やはり「異国の地」、街並み1つとっても「木造」と「レンガづくり」の文化の違いを肌で感じながら、外から日本を見つめ直すという視点で連日精力的に調査を行ってきました。
調査結果の詳細については今後取りまとめる報告書に譲ることとして、ここでは、その概要と団長を仰せつかった者として、私なりの感想を述べたいと思います。
1 ドイツ
11時間を越えるフライトによりドイツ経済の首都フランクフルトに到着した私たちは、一路アウトバーンを100kmほど南下し、南部ドイツと中部ドイツの境目をほぼ東西に横断するように走っている「古城街道」のスタートでもあるハイデンベルグに到着した時には既に21時を回っており、ゆっくり手足を伸ばして明日からの調査に備えることにしました。
(1) フライブルグ市
私たちの最初の訪問地は、ハイデルベルグから約200km南に下り、フランス(コルマール市)に40km、スイス(バーゼル市)に60kmという、三国の国境地帯にあるフライブルグ市です。
人口20万人のフライブルグ市は、エネルギーと環境対策を行政目標に掲げ、原子エネルギーに替わる代替エネルギーの開発、地域レベル及び地球レベルでの空気汚染物質の減少等を実践しております。
具体的には、フライブルグエネルギー水供給公社が振興住宅地(人口9千人のランドグァッサー地区)から4kmほど離れたところにゴミ処理地〜外観上は小高い丘で草木も生えている〜をつくり、その地中からメタンガスを収集して地下パイプで発電暖房事業所に送り、これを燃料とするブロック・コジェネレーション発電により地区住民の電力需要を賄っているほか、この発電により出た温水を集中熱結合供給システムにより直接この地区の各世帯に送っています。
「いずれメタンガスも無くなると思うが、その場合には発電施設を含めてどうするのか」との団員の質問に対しては、即座に「腐敗ガスは20年先に枯れると推定しており、その際、天然ガスへの切り替えが可能である発電システムとしている」との極めて分かり易い回答。