21世紀型地方自治に向けて
梶原拓(岐阜県知事)
20世紀も残すところわずかとなり、情報化、国際化、技術革新、高齢化など時代の大きな転換期を迎えています。
こうした状況のもと、岐阜県では、県民生活の現場に立った「気配りの県政」と時代の流れに先手を打つ「先取りの県政」を両輪として、県民総参加の「夢おこし県政」を推進し、県民一人ひとりが豊かさを実感できるふるさとづくりを進めてきました。
これまでに、県民からの要望の強い「福祉」では、特別養護老人ホームや老人保健施設などを大幅に充実させたほか、本県にとって大きなハンディキャップとなっていた交通網の整備も安房トンネルの開通や東海北陸自動車道の名神直結などにより「陸の孤島」からの脱却という悲願も着々と実現しつつあります。さらに、岐阜メモリアルセンター、県民ふれあい会館、県民文化ホール未来会館、県立図書館など多くの文化・スポーツの拠点施設を整備したほか、ソフトピアジャパンやVRテクノジャパンなどの新産業おこしの拠点づくりも進んでおり、21世紀に向けて多くの県民の夢が着実に実現しています。
さて、21世紀を目前に控え、わが国は社会経済のあらゆる面で抜本的な改革を迫られており、集権体制による従来型社会システムから地方自治による社会システムへの転換がもはや避けられない課題となっています。
こうした背景には、国・地方を通じて未曾有の財政危機に瀕していること、また、多様化が進んだ社会の変化に公平・平等を旨とする行政が一律的に対応することが困難となってきていることなどがあります。