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(4) 地方消費税

1]地方消費税の充実

地方消費税は、活力ある豊かな福祉社会の実現を目指す平成6年秋の税制改革の一環として、地方分権の推進、地域福祉の充実等のため創設されたものである。実際には1997(平成9)年度から導入されており、基本的には国の消費税と同様のもので、国の消費税額を課税標準としてその税率は100分の25、消費税率に換算すると1%、消費税5%のうちの1%が地方消費税となっている。

また、地域福祉の主たる役割を果たす市町村に対して、地方消費税の税収の半分が都道府県から市町村に交付され、市町村の安定的な財政基盤の確立に寄与しているところである。

1997(平成9)年度の決算額は初年度であるため約8,070億円と少ないが、1998(平成10)年度決算額は約2兆5,500億円となっている。

1999(平成11)年度からは、消費税収(国分)の使途が基礎年金、老人医療及び介護に限定され、その使途の限定が予算総則に明記された。具体的には基礎年金の給付費用の国庫負担等があり、2004(平成16)年度までの間に安定した財源を確保し国庫負担の割合の2分の1への引き上げを図るものとするとした国民年金法等の一部を改正する法律附則も設けられ、福祉財源としての消費税はかなりクローズアップされている。

諸外国における消費税(付加価値税)の標準税率をみてみると、日本が5%であるのに対し、特にヨーロッパあたりでは高く、スウェーデン、ノルウェー、ベルギー、フランス、デンマーク、オーストリア、イタリアの税率は20%以上となっている状況にあり、単純に比較はできないものの日本は相当程度低い水準にある。

今後、所得、消費、資産等のバランスを是正していくこととなれば、消費課税のウェイトをさらに高めることが議論されることが予想されるが、地方の歳出に比して地方税収が絶対的に不足している現状や今後地方分権の進展に応じて地方公共団体の役割がさらに増大すること等を踏まえれば、地方消費税は地方税の税目の中でも税収の偏在性が少なく、安定性に富んでいる地方税にふさわしい税であることから、地方消費税の充実は必須のものと考えられる。

 

 

 

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