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また、誰がサービスを享受するのかを特定することが可能で、基本的に市場で供給可能なサービスが多く含まれている。そのような観点から、地域内の受益と負担が完結し、住民が負担を意識しながらサービスに対する需要を明示することが望ましい。従って、従来歳入と歳出の議論が切り離されてきた傾向があるが、サービス水準と税の負担水準すなわち受益と負担をある程度リンクして議論すべきである。

課税自主権を活用した福祉財源の確保ということもそのうちの一つの選択肢として議論されていくことが必要であろう。

オ 大きな意味で、地方税体系の今後の方向について、地方分権推進計画において、「所得・消費・資産等の間における均衡がとれた国・地方を通じる税体系のあり方等を踏まえつつ、税源の偏在性が少なく、税収の安定性を備えた地方税体系の構築について検討する」とされており、所得・消費・資産等のバランスがとれた、あるいは偏在性が少なく安定性を備えた地方税体系の構築は、今後の地方分権全体の流れにも必要不可欠なものである。

また、同じく地方分権推進計画において、地方の歳出の割合が約3分の2であるのに対し租税総額に占める地方税の割合は約3分の1と開きがあることから、地方税については、基本的に、この開きをできるだけ縮小するという観点に立ってその充実確保を図るべきとされており、この方向に沿って検討することが必要である。

 

2. 少子・高齢社会に対応した偏在性が少なく税収の安定性を備えた地方税体系等の構築

 

税制については、これまでも少子・高齢化の進展等に応じ税制全般にわたる見直しが議論されてきたところである。

税制のあり方については、公的サービスをまかなうために十分な税収を確保しつつ、租税の基本原則に基づきながら、国民的な議論によって検討されるべき課題である。

 

 

 

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