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(5) 国民負担率の今後のあり方

今後の少子高齢化社会と地方税制のあり方を考える上で、公的サービスの水準をどの程度に設定するかあるいはどの程度の負担を求められるかという観点から議論となる一つの視点が国民負担率である。

図6にあるとおり、2000年度の租税負担率は22.5%で横ばいに推移しており、諸外国と比較して必ずしも高くない、あるいは低いと言える。これに社会保障負担率を加えたものが一般的に国民負担率とされ、社会保障負担率が微増であることから国民負担率は36%前後で推移しており、これも諸外国と比べて低い方である。しかしながら、現在日本は国及び地方において巨額の財政赤字を抱えており、これらを加えた潜在的な国民負担率は2000年度に49.2%とかなり高くなっている。

現在停止中であるが、財政構造改革法においては、全ての歳出分野を対象とした改革を推進する際に踏まえるべき観点等の一つとして「財政赤字を含めた国民負担率が50%を上回らないように抑制すること」と規定されていたところである。

国民負担率のあり方は、究極的には国民が必要とする公共支出の水準と表裏一体をなすものであり、受益と負担のバランスを眺めつつ、その時々の情勢の下で、国民的選択が行われるべき事項である。

国民負担率は、今後の少子高齢化の進展に伴い、長期的にはある程度上昇していくことが避けられないと見込まれるが、経済の発展、社会の活力を損なわないよう、又、将来世代の負担が過重なものとならないよう、極力その上昇を抑制する必要がある。

従って、国民負担率が中長期的に見てある程度上昇せざるを得ないことは事実であるとしても、分権を進めるが故にあるいは国民負担率の大幅な上昇を許容するという考え方を取ることは困難であり、地域福祉を中心とする地方公共団体のサービス提供の重要性、必要性がますます増大することを考えれば、地方税源を充実するためには中長期的に国から地方への税源移譲を検討せざるを得ないと考えられる。

 

 

 

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