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このことは、市町村の裁量の範囲が拡大するとともに、住民の責任が大きくなることも意味する。1986(昭和61)年に保育所、老人福祉施設等への入所措置等の事務が団体事務とされるまでほとんどの社会福祉事務が機関委任事務とされていたため、全国画一的に事務を処理せざるを得なかった。現在では市町村が住民の要望を直接受け止めて主体的に取り組んでいくことが基本となっており、今後こうした傾向が加速するものと考えられる。

福祉政策は市町村行政の最大の課題となっており、その取り組み方は、市町村が住民の需要にどの程度的確に応えているかについて評価する一つの指標になるものと考えられる。

 

(4) 最近の動き

高齢者の保健福祉サービスについては、前記のとおり「新ゴールドプラン」に基づきその推進が図られてきたが、新ゴールドプランは1999(平成11)年度でその期間を終了するため高齢者保健福祉施策の一層の充実を図るため、介護サービスの基盤の整備を含む総合的な新たなプランであるゴールドプラン21が昨年末に策定された。

また、近年の出生率の低下は、将来のわが国の社会経済に広く深刻な影響を与える懸念があることから、「少子化への対応を考える有識者会議」の提言(平成10年12月)の趣旨を踏まえ、政府が中長期的に進めるべき総合的な少子化対策の指針として少子化対策推進基本方針を同じく昨年末策定すると共に、これに基づき重点的に推進すべき少子化対策の具体的実施計画が策定された。

さらに、今後、少子高齢化の進展により、社会保障に係る給付と負担の増大が予想されており、とりわけ、いわゆる「団塊の世代」の人々がやがて高齢社会の仲間入りをすることを考えると、年金、医療、介護などについて制度横断的に、かつ税制を含め総合的に議論する必要があるとの認識の下に、「社会保障構造の在り方について考える有識者会議」が設置され、21世紀社会の在り方や新しい高齢者像、社会保障についての現状の評価、公私の役割分担、給付と負担の在り方、改革の方向などの幅広い論点について議論がされているところである。

 

 

 

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