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II 当研究会の検討の概要

 

前述のとおり、類似団体は、市町村が自らの財政状況を他の団体と比較・分析する上で、財政状況を決定する前提条件が自らと類似している団体を比較対象とすることが必要であることから、そのような比較・分析の尺度として用いるために作成されているものである。

したがって、類似団体の類型設定基準は、市町村の財政状況を決定する度合いが強いことが必要である。また、仮に各地方公共団体の財政運営上の判断によって影響される基準(例: 職員数)を採用した場合、同様の財政運営を行っている団体同士が類似団体となり、自らの財政運営を省みる役には立たないことから、各地方公共団体の財政運営上の判断に影響されない基準とすることも必要である。さらに、市町村ごとに統計数値が整備されている必要がある。

 

類似団体の類型設定基準が満たすべきこのような条件を踏まえて、当研究会では、1]人口、2]就業者数、3]第1次産業人口、4]第2次産業人口、5]第3次産業人口、6]65歳以上人口、7]市町村別面積、8]第1次産業人口比率、9]第2次産業人口比率、10]第3次産業人口比率、11]人口増減率、12]卸売業商店数、13]卸売業従業者数、14]卸売業年間販売額、15]小売業商店数、16]小売業従業者数、17]小売業年間販売額及び18]小売業売場面積を取り上げ、基準として適当かどうか検討した。

このうち、12]〜18]は、「商業統計調査」(通商産業省作成)に基づくデータであるが、これらを取り上げたのは、現行の基準である第2次・第3次産業人口比率が、

・ 第1次産業人口比率が減少し、第2次・第3次産業人口比率が極めて高くなっていること

・ 昼間人口と居住人口との間に大きな差が生じてきたこと

から、その機能が低下してきている可能性があると考えられるのに対し、12]〜18]はこれらの点には左右されないためである。

上記1]〜18]は、各地方公共団体の財政運営上の判断に直接影響されるものではない。また、統計も整備されている。このため、検討は、上記1]〜18]が市町村の財政状況を決定する度合いが強いかどうかの確認を中心に行うこととし、また、その際には統計的手法を活用することとした。

 

「市町村の財政状況」は様々な角度から分析することができる。したがって、上記検討に当たっては、何をもって「財政状況」を代表させるかが問題となるが、当研究会では、財政規模及び財政構造を取り上げることとした。これは、この両者によって、財政状況の枠組みが説明されると考えられるからである。特に、財政規模については、歳入及び歳出の主要要素の変動を説明する度合いが強いことが、主成分分析及び因子分析を行った結果、確認されたところである。

 

 

 

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