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27.5 紛争により惹起される遅延

 

27.5.1 事業者は時に、紛争が解決するまで作業を継続できないことを根拠に、契約にもとづく、当局と事業者の間の紛争を、免責事由のリストに含めようと試みる。この問題は、特に建設段階において発生する。これは模範的な操作とはいえず、たいていは抵抗を受ける。事業者(下請業者)は、紛争が起きたというだけで、“現場放棄”を認められるべきではない。他の方針の行動が(たいていの場合は建設段階の最後であり、しかも決定的な段階に向かって)とられない場合、免責に厄介な問題が生じる可能性がある。

 

27.5.2 事業者は、紛争が継続する間も、当局の望みにしたがってサービス提供をし続ける義務の下におかれなくてはならず、これは、たとえその紛争が建設作業の差し障りとなり、建設作業全体に影響を与え、事業者にとって有利となるように紛争が解決しても再建築もしくは作業再開のための作業が必要となる可能性があっても、同じである。事業者は、紛争が事業者にとって有利となるように解決されるとすれば、専門家もしくは仲裁人が適切な補償を裁定するのを頼みにすべきである。

 

27.5.3 当局は、紛争が事業者に有利に解決された場合、一般的に当局が事業者の費用の支払い責任を負うことを認めるべきである。この費用には、再建築において負担された余分な費用(人件費および資材費)、および結果的にサービス提供の後れが生じた場合に事業者によって負担される結果的費用が含まれる。当局が当該紛争解決手続に従わなかったために惹起された遅延は、仲裁人の裁定において考慮に入れられるべきである。

適切な契約書草稿は、以下のとおりである。

 

27 紛争の解決1

 

(a) 契約のいかなる側面であれ、これに関連して生起した紛争はいかなるものも、本条にしたがって解決されるものとする。

(b) 契約のいかなる側面であれ、これに関連して紛争が発生した場合、事業者と当局は、まずその争われている問題に関連して合意に達するべく、誠実に協議するものとする2

 

1 スコットランドでは、ここで用いられているのとは異なる用語が用いられる。

2 当事者は、代替的紛争解決法の形式を契約に組み込みたいと望んでもよい−このような場合、政府政策にしたがうべきであり、かつ大蔵省事務弁護士に相談すべきである。

 

 

 

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