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27. 紛争の解決

 

27.1 はじめに

 

契約は、契約の諸条件にもとづく紛争の取り扱い手続を定めなくてはならない。

 

27.2 紛争解決の手続

 

27.2.1 PFI契約にもとづき発生する可能性のある紛争が裁判所を経ることは適正ではないかもしれず、こういう時はこれに代わる正式な紛争解決手続の方が、能率的かつ費用効果の高い紛争解決方法になるかもしれない。

 

27.2.2 紛争解決の一般的な形式には、以下に挙げるとおりの、3つの段階的なプロセスが関与する。

・ 当局と事業者が相互に満足する合意に達するための試みとして、指定された期間中、相互に協議する(異なる水準の内部協議が行われることもある)。

・ 協議が失敗した場合、当事者は(ある種の紛争の事例は、これを除く)その紛争事例を専門家の判断にゆだねる。専門家は、その指名が契約により定められた、複数のメンバーから成る集団(例えば、建設もしくは営業の専門家)から指名される。これに代わる紛争解決策は、専門家の判断に代わり得る方法である。価格変化のメカニズムに関わる紛争は、紛争の当時に、当事者間で合意された会計の専門家に委ねられるかもしれない(脚注4を参照のこと)。

・ 紛争が第二段階でも解決されない場合、最終段階において、その紛争事例は、終局的かつ拘束力を持つ裁定を下す仲裁人/裁定人(仲裁人/裁定人を指名する方法は、契約において定められるべきである)に付託される。これに代わる方法として、当局は、この段階において裁判所に訴訟を提起する方法の方を好むこともある。

 

27.2.3 しばしば提案されるのは、緊急問題を処理するために迅速な紛争解決プロセスが契約書に含められることである。後掲の契約書草稿は、『1996年住宅供給助成金・建設・再生法(Housing Grants,Construction and Regeneration Act 1996)』に記載されている手続を反映しており、それゆえ本来的に迅速な解決策である。

 

27.3 下請業者の紛争の共同訴訟

 

27.3.1 事業者とその下請業者は、みずからの紛争と契約にもとづく紛争に同一の係争事項が関係する場合、前者を後者に加える権利を要求するかもしれない。これは当局にとって解決プロセスにこのような時間と費用を増大させるだけであるから、当局は一般にはこれに抵抗すべきである。当局は事業者と下請業者の紛争に巻き込まれたがらないが、これは特に事業者はいかなる場合にも、契約にもとづく決定が契約上の連鎖に沿って下達されるよう確実を期するからである。これは、下請業者の構成が適当であれば、それを通じて達成されるもので、資金提供者はこの問題に固執する。しかしながら、一定の限られた事項(建設の完了証明書など)については、共同訴訟に合意できることもあるかもしれない。

 

 

 

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