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26. 知的所有権

 

26.1 はじめに

 

26.1.1 大半のプロジェクトにおいて、事業者は、サービスを提供するために、何らかの種類の知的所有権(IP)の使用を必要とする。事業者は、第三者もしくは事業者自身によって開発されたIPを使用するかもしれない。このような知的所有権は、一般的な利用法があるかもしれないし、関連プロジェクトのためにとくに開発されたものかもしれない。事業者が、第三者によって開発され、第三者に帰属するIPを使用する場合、事業者は、このようなIPを使用するための使用許諾を必要とする。

 

26.1.2 契約は、当事者に、IPの使用許諾のいかなる条件にも違反せず、かつ使用されているIP所有者の知的所有権(IPR)を侵害しないことを求めるものでなくはならない。契約は、IPRに対する違反もしくは侵害が発生した場合何が起きるかを定めなくてはならない。

 

26.1.3 PFIにおいては、当局はプロジェクトの結果として創出された有形資産を所有する必要はないと仮定される。この仮定はIPRのような無形資産にも等しく適用されるべきであるが、当局はサービス提供の継続性の核であるIPR(特に、著作物であるソフトウェア)を無償で受け継ぐか、もしくはこれを買い取るオプションを持つかもしれない。しかしながら、だれがIPRを“所有”するかにかかわらず、当局が(例えば、契約の満了もしくは中途解約の際に)サービス提供を引き継ぐのであれば、契約は、当局がサービス提供に必要とされるIPを使用できるよう、確実を期さなくてはならない。

 

26.1.4 もしIP及びIPRが契約上中心となる重要事項である場合は(例えば、特定にの防衛関係プロジェクトや設備機器プロジェクトの場合など)、この章で述べられている諸問題をさらに発展させることが適切かもしれない。

 

26.2 事業者による、IPRの侵害

 

26.2.1 一般原則は、事業者によるIPRの侵害によって結果的にもたらされた費用は、事業者によって負担されるということである。IPRの所有者および当局の費用について責任を負うべきは、事業者である。これにより、事業者は通常、当局に対する損失補償を提供することが必要となる。

 

26.2.2 抵触もしくは関連する訴訟により、サービスの提供が脅かされる場合、当局は、可及的速やかに通知されるべきである。当局は、訴訟において抗弁する事業者に対し、妥当な援助を提供する義務を負うべきであるが、これは拡大されて、事業者の抗弁の費用を支払うまでに至るべきではない。

 

 

 

 

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