日本財団 図書館


(B) 当該リスクの発生が、事業者による、事業者の、本契約にもとづく義務に対する違反により惹起されたのではない場合

(b) 上述の(a)の必要条件が満たされるが、当事者が当該リスクにいかに対処するかにつき合意できない場合、契約は継続する。リスクが発生し次第、当局は、事業者に対し、保険が引き続き利用可能であり、かつ契約が継続していたならば支払われていたはずの保険金に等しい金額を支払う15か、もしくは【20.3.4 不可抗力を理由とする終了の際の補償】において定められている金額に等しい金額を支払って、契約を終了するか、いずれかを(当局の選択権において)選択することができる。

 

24.9 保険事由に関わる訴訟からの防御策の管理

 

24.9.1 当局は、事業者に対する訴訟で、当局自体、もしくはそれより広く政府に対して関係を持つ公算の大きい訴訟の防御策を管理したいと望むかもしれない。当局が、当該訴訟における共同被告(人)、もしくは将来的に類似した多数の訴訟が当該訴訟により示される判例に立脚するであろう場合の、このような将来的訴訟の共同被告(人)になる公算が大きい場合、当局は早期の段階から、その訴訟を管理したいと欲する公算が大きい。これは、訴訟以外の方法で先例を示すのではなく、明確な判例を確立するために、長期的な訴訟となるかもしれない。一方、当局はそうする代わりに、公的政策を理由に可及的速やかに訴訟を解決することを望むかもしれないが、その場合は商業的な検討事項を無視することになるだろう(これに該当する事例としては、例えば刑務所や病院に関わるプロジェクトがある)。

 

24.9.2 事業者の保険者は、たいていの場合、その保険証券にもとづく請求に結びつく可能性のある訴訟を管理しようと考える。保険者は、みずからの支配が及ばなかった請求のために支払いを行うことは躊躇するだろう。この一例を挙げるなら、当局が訴訟以外の手段で解決したが、訴訟が完全に行われればより少額の判決が下ったであろう請求、もしくは保険者の信じるところでは、保険者自身が訴訟以外の手段で、裁判所の判決より少額で解決できた請求がある。保険者が承諾する、当局による支配の度合いは、プロジェクトごとに吟味検討されるべきである。

 

24.9.3 一般に、当局は、みずからがどうしても訴訟を管理したいと望んだ場合は、このような訴訟の費用の支払い責任のいくばくかは引き受けることを予期すべきである。実際、このような支払い責任がどうあるべきかを決定するのは、極めて困難である。原則的には、保険者が支配を得た場合に支払ったであろう金額と、解決もしくは裁定された金額との差額は、当局がその支払い責任を負うべきである。しかしながら、【24.9.2】において概説された、いずれの場合にも、当事者の全員(原告も含めて)にとって、どれほどの金額が受容可能であるか、これを確立するのは極めてむずかしい。実際、当局は、防御策の支配権を得る代わりに、当該訴訟費用の大半、もしくは全額を引き受けなくてはならないことになる可能性もある。

 

15 すなわち、当局は、保険を対象とした納税持の控除分は支払わない。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION