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24. 保険

 

24.1 はじめに

 

24.1.1 伝統的に、中央政府は従来の調達手法の下で保持されるリスクの大半について営利目的の保険契約を締結しない道を選択してきた。支払うべき保険料が、自家保険に比して、良好なバリューフォーマネーを示しているとは考えられなかったからである。

 

24.1.2 しかしながら、PFIの下では、より広範なリスクが民間部門に移転される。大半の契約の背景にある融資の取り決めとサービス提供の継続を確保する必要性は、あらゆる種類のリスクを対象とする自家保険は事業者にとって実際的でないことを意味する。実際のところ、優先債権者の保険の必要条件は、たいていは広い範囲わたっている。当局にとって、ITNを発行する以前であり、かつ交渉期間中に、事業者に課すべき必要条件について、独立した保険関係の助言を求めようと努めることが必須である。これは、他の当事者のどれも事業者の保険の手配を監督していない場合(例えば、プロジェクトが優先債権者による融資を受けていない場合)は、特にそうである。

 

24.1.3 主たる問題は、当局が事業者に対し、一定の保険契約を締結し、それを維持することを必要条件として課すか否か、およびその範囲、ならびに必要とされる可能性のある保険が利用不能となった場合どうなるか、である。

 

24.2 当局の要求事項

 

24.2.1 リスク移転を最適化する目的で、当局は事業者に対し、その保険の手配をできるかぎり、何らかの方法で達成することを認めるべきである。一般的に言うなら、事業者は、いかなる場合でも、良好な業界慣行にしたがって保険契約を締結する義務を負うべきである。これは、大半の事業者がどんな場合でも、まず間違いなく行うはずである。

 

24.2.2 しかしながら、ある種の請求を支払うために保険金が確実に利用可能であるようにするために、当局が事業者によって掛けられ、維持されていることを確かめたいと欲する、必要条件として課される保険の数は膨大である。このような必要条件である保険は、例えば、第三者の補償責任に関わる請求、建設に関わる全リスク、重大な損害に関わる請求および雇用者の賠償責任保険などがある。このような鍵となる保険によってカバーされるべきリスクが付保不能になった場合のことも考えて(【24.8 付保不能となったリスク】)、当局は必要とされる保険の数を最低限に押さえるべきである。

 

24.2.3 事業者は、必要条件である保険によって担保されない、その他のリスク、例えばストライキ、潜在的瑕疵、事業の中断および業務検査に保険契約を締結したいと欲するかもしれない。これらの保険は、サービス提供を継続を確保するために事業者は付保を望むかもしれないが、契約上で必要とされることはない。

 

 

 

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