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23. 損失補償、保証および契約上の請求

 

23.1 はじめに

 

23.1.1 当局はしばしば、サービス提供の業績がなく、その主たる資産が本契約だという特別目的会社の事業者と契約を結んでいる。したがって、当局は特別目的会社とその下請業者が、サービスおよび対応する財務上の補償責任を提供するという、その契約上の義務を果たすことができるという安心感を必要とする。

 

23.1.2 伝統的な調達においては、このような安心感はふつう、主たる事業者、その親会社および下請業者によって当局に提供される保証、損失補償および裏保証という形を取るものであった。PFIでは、大半のプロジェクトがリミテッドリコースを原則として融資を受けているのでサービスが提供されないと事業者は支払われないが、このような拡大可能な直接的安心感は通常は不必要か、もしくは不適正である。

 

23.1.3 しかしながら、当局は事業者からある種の安心感を得ることを必要とする。本章では、当局が通常期待すべきこの類の安心感につき、助言を与える。

 

23.2 保証

 

23.2.1 当局は、たとえその相手方当事者が債務超過になっても、サービス提供の継続性が確実に維持されるようにしなくてはいけない。多くのサービス提供契約において、親会社(の補償という方法によってこの会社がグループの中で究極の親会社なのか、それとも請求に十分耐えうる人間なのかが、交渉において問題になる)、これが可能となっている。PFI契約は一般にサービス提供期間を定めるために作成されるものだが、サービス提供期間のための契約おいては、このような保証は大した価値を持ち得ない。

 

23.2.2 リミテッドリコースストラクチャーは、PFIプロジェクトでは極めて一般的に用いられる。というのは、これが他といっさい無関係であり、プロジェクトの補償責任を限定し株主の補償責任と分けるものだからである。当局は概して、下請業者もしくは事業者の株主から、事業者の義務に関連して無理にも保証を得ようとはしない。

 

23.2.3 良好な助言を得ている当局は、たいていの場合、出資金の水準がプロジェクトに対する関与を明確に示していること、および資金調達の構造が確固としていることを条件に、良好に体系づけられたリミテッドリコースを有するプロジェクトから十分な安心感を得ている。出資金の適正な水準は、営業段階と、開発段階もしくは建設段階とで異なるし、それぞれプロジェクトによって異なる。これには構造全体(例えば、プロジェクト資料、それらの契約にもとづき下請業者が必要とする補償責任の制限)、補償責任の界面(建設の完了と営業の開始との間の時期は、どの下請業者が補償責任を負うか、など)、および優先債権者の介入権、およびその他の資金提供者の権利への理解の分析が関わる。

 

 

 

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