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22. 満了および終了の際の調査

 

22.1 はじめに

 

22.1.1 資産が当局に対し、契約の期間の満了時に、費用ゼロで移転される(すなわち、残余価値に関わるリスクが事業者にいっさい移転されてないない)(【19.5 満了時の終了時支払いの評価】を参照のこと)場合、契約は、資産がいかなる状態で返却されるべきかを詳細に定めるべきである。また契約は、このような基準が満たされているか否かを評価するために、契約の最後に行われる資産の状態調査の手配についても、詳細に定めるべきである。

 

22.1.2 当局により、事業者に対して、当時の資産の市場価値を反映し'残余価値の支払いが行われる(【満了時の終了時支払いの評価】を参照のこと)予定場合、調査は、資産1の状態が満了時に支払われる価格に反映されるよう、評価の一部としてのみ必要とされる。

 

22.2 満了時の調査の時機

 

22.2.1 調査はふつう、契約の最後の1年前もしくは2年前に、理想的には独立した第三者によって実行される。

 

22.2.2 満了時に支払いはいっさい行われない予定であり、かつ調査により事業者がその義務を遵守しなかったため、その資産が必要とされる状態で事業者に引き渡されないことが明らかになった場合、契約は当局に対し、事業者から状況を免責するために当局が必要とする金額を回収することを許可するべきである。これは、債務して、もしくは相殺という方法により、あるいは当局が必要なメンテナンスを自身で実行したか、もしくは実行する予定の場合、契約が進行している期間中のサービス料水準からの、当該金額分の減額によって行われるかもしれない。

 

22.3 別途積立金

 

22.3.1 二者択一的に、契約は、当局が調査により必要と認められたメンテナンスを実行するために十分な資金を要求できることを確実化するために、当局が、契約の最後の数年間、サービス料水準の各支払いのうち一定割合を別途積立金に対して支払うと定めるかもしれない。別途積立金への支払いの期間および規模はプロジェクトごとに、資産に生じた瑕疵を矯正するために必要と見込まれる金額を参考に、定められるべきである2

 

22.3.2 事業者が、調査によって必要と認められたメンテナンスを実行する場合・事業者は別途積立金から払い戻しを受けることができる。そうでない場合、当局は必要なメンテナンスを実行するために、このような資金を自身で用いる。保有されている金額が不十分な場合、その差額は当局が事業者から、負債として回収しなくてはならない。資金の残高は事業者に帰属するので、事業者に対し、発生した利子とともに支払われるべきである。

 

1 すなわち、“資産”の定義において言及されている物理的資産である。

2 脚注1を参照のこと

 

 

 

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