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当局がこのような金額を契約の残余期間(終了しなければ残っていたはずの)中に返済する場合、バリューフォーマネーが達成される見込みはない。しかしながら、ある特定の当局は、負担能力の制限のせいで、契約期間外に支払う選択権を覆したいと望むかもしれない。当局の選択は、仲裁の可能性によって影響されるべきではない(すなわち、当局は事業者に支払うよりも、短期の預金からより高額の利子を得られるからといって、長期にわたる選択肢を選択すべきではない)。

 

21.5.3 一般に、資金提供者は履行に無関係な資産は好まないため、支払いは契約期間外に行うが、満額を、最初の割賦償還スケジュールを前倒しして支払うという、当局の折衷案に合意したがらないかもしれない。しかしながら、地方自治体の場合、資金提供者は割賦償還に合意しなくてはいけない公算が大きい。

 

21.5.4 利息は、政府の信用を前提とする支払いの支払期日後に未払いの残高に適用される優良利率と、優先債務に適用されるべき利率との中間の利率において支払われるべきである。この利率は当然ながら、履行に関わるリスクがないことを反映すべきである。

 

21.5.5 契約書草稿には、このような金額が優先債権者に対して支払われるかぎり、以下に挙げるような規定が含められるべきである。

当局は、当該時点で未払いの優先債務の金額につき、[優先債権者の代理人]の証書を、争う余地のないものとして依拠する権利を付与されるものとする。[優先債権者の代理人]が受領することにより、当局は、事業者に対して支払われるべき補償のうちの、いかなる要素であれ、支払う義務を解除されるものとする。

 

21.6 唯一無二の免責4

 

21.6.1 事業者はふつう、一定の例外はあるにせよ、終了時の補償の支払いがその唯一の免責であることに合意すべきである。当局が、これに関連する類似の規定に合意するかどうかは、【23.6 損害賠償額の請求】に詳述されている諸問題により異なる。

 

21.6.2 事業者の立場を定める、契約書草稿は以下のとおりである。

補償の支払いは、契約もしくはプロジェクト資料の終了に関連する、事業者の請求の満額を補償するものとする。第20章第1条第3項(当局のデフォルトの際の終了)、第20章第3条第4項(不可抗力の際の終了)、第20章第4条第3項(賄賂及び詐欺を理由とする終了のための補償)、第20章第5条第2項(当局による任意の終了の際の補償)にもとづいて支払われるべき補償は、プロジェクトに関連して事業者が受ける、当局からの唯一無二の免責であるものとする。

たいていの処理には、特定目的のための除外が存在するし、補償の支払いはその他の請求を反映しないという原則にもとづき、それぞれのプロジェクトにはそれぞれの基本原理があるべきである。一例を挙げるなら、第25章(情報および秘密情報)にもとづく請求、知的所有権の抵触を理由とする請求のうちのある種の請求、およびその他補償に反映されない請求、例えば第三者による当局に対する請求、もしくは当局のその他の財産がこうむった損害から発生する請求などがある。

 

4 このような違反を理由に請求を行う能力はないかもしれないので、これについても【23.6 損害賠償額の請求】を参照のこと。

 

 

 

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