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21. 中途解約時の支払いの算定と支払い

 

21.1 はじめに

 

本章では、契約終了時の支払いに適用されるべき原則が詳述される。

 

21.2 終了時の支払いの税金分上乗せ

 

21.2.1 補償金は、(税を差し引くために)税金分を上乗せするという原則に立って計算されるべきであるが、事業者のデフォルトのといった事例はこれを除く。というのは、事業者は本来、その資金調達における特定要素を補償することを意図した金額を受領するというより、むしろ未払いの契約の売却価値を受領するので、市場価値の支払いについて税金分上乗せをするのは不適正だからである。

税金分上乗せに関わる典型的な規定は、以下のとおりである。

第20章第1条第3項(当局のデフォルトの際の補償)、第20章第3条(不可抗力を理由とする終了時の補償)、第20章第7条(賄賂及び詐欺を理由とする終了時の補償)および第20章第5条(任意の終了)にもとづき、当局によって支払われるべき補償の金額が、英国において関連当局に支払われるべき税の対象である1場合、当局は、事業者に対し、(選択により利用可能であるか否かを問わず)税に関連する免責、手当の控除、相殺もしくは貸金(credit)を考慮して、事業者が税引後に、課税されなかったならばなっていたであろう状態と同一になるように追加された金額を支払うものとする。

 

21.2.2 【20.2 中途解約】で採られた終了時の補償へのアプローチを用いれば、サービス料水準に代わる支払いが税の差し引きを反映する範囲を契約書草稿において取り扱う必要はないが、それ以外の場合はその必要があるだろう。

 

21.3 リファイナンス後の補償の支払い

 

21.3.1 任意の終了、当局のデフォルトを理由とする終了、不可抗力もしくは賄賂及び詐欺の後に続く補償の支払いはすべて、全面的にであれ部分的にであれ、事業者の、未払いの優先債務の水準を参照して計算される。

 

21.3.2 当局が関心を抱くのは、終了時の支払い時に未払いの優先債務の水準が膨張して、当局の補償責任を膨大かつ意外に増大させないよう確実を期することである。契約は、つねに優先債務および劣後債務の水準が人為的に膨張させられることのないよう確実を期するべきである。

 

1 当局は、英国の租税のみが関係することを確実化することにより、たとえば系列会社が外国で登記されているか、外国に所在している場合に発生する可能性がある、外国の税務当局に対する補償責任が、対象として捕捉されないようにすべきである。当局ははまた、当局が集計された税額を内国歳入庁もしくはその他適切な当局に対して直接支払い、事業者の納税責任を訴訟で争そう権利を保持するよう確実を期するべきである。

 

 

 

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